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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

60.02.02. 筋弛緩モニター

目次
60.02.02. 覚醒、リバースの確認>筋弛緩モニター
○ 筋弛緩のモニタリング
◍筋弛緩モニターを正しく使いこなすには「末梢神経刺激装置を十分使いこなせること」が重要⇒誘発反応を視覚的or触覚的に筋弛緩の程度を評価する⇒視覚的には筋回復期に過大評価になり易く、触覚評価法がよい。
◍簡易型末梢神経刺激器のみでの筋弛緩モニター:前腕部尺骨神経刺激に誘発される拇指内転筋力を触れて評価する。
◍市販の筋弛緩モニターには単一刺激、四連(TOF)刺激、ダブルバースト刺激(DBS)、ポストテタニックカウント (PTC) 刺激が組み込まれている。
*TOFウォッチ、TOFウォッチSX
◍一つの運動神経を刺激し、その支配筋の全ての筋繊維が収縮反応を起こし、最大筋収縮力を出している状態で評価する⇒この時の電気刺激値(mA)以上の刺激を最大上刺激という=50~60mA.
(1) 単一刺激:(主として1回/sec,1Hz or 1回/10sec,0.1Hz)の刺激頻度で用いられる。電気刺激の幅0.2msec or 0.3msec 矩形波。筋弛緩薬初回投与から気管挿管までの見当つける。筋弛緩薬投与前のコントロール反応の記録が必要。
*簡易型末梢神経刺激器でできる。
(2) 四連(TOF)刺激:4回の連続する最大上刺激を2秒間、0.5秒間隔で与える。10~15秒毎繰返し。最初の反応T1と4回目の反応T4の高さの比(T4/T1)=四連反脳比(TOF比)
コントロール反応不要ですでに筋弛緩薬使用後の途中からでも評価できる。
(3) ダブルバースト刺激(DBS3.2、3.3):750msec間隔で2回の50Hzの群発テタヌス刺激(2~3発の最大上刺激)からなる。各々の群発刺激に対する反応は1つであり、ある程度の非脱分極性筋弛緩の回復相では2つの反応が出現する。第1反応に対する第2反応の減少(減衰)の有無のみを触知法により評価する。安全なレベルに回復した残存筋弛緩レベルをTOF刺激で評価するのはやや困難で、DBS3.2でfadeが触知できないときはTOF比>75%。
(4) ポストテタニックカウント(PTC)刺激:Simple Twitch刺激(1Hz、0.1Hz)、TOF刺激に対する反応が全く検知されない時(強い筋弛緩状態)のみ作動。
◍気管挿管は拇指内転筋の単一反応やTOF反応の消失直後ではまだバッキングが多くみとめられる。喉頭筋や横隔膜と拇指内転筋の筋弛緩薬作用発現の時間差による。完全消失後20~30秒経過した時点がベスト。
◍脳外科、上腹部の麻酔維持ではTOF刺激でT2がみられる程度、追加投与はT3 or T4が出現した時点。麻酔維持はセボフルラン2.0~2.2%位、ETCO2;30~33mmHgで。
◍propofolによるTIVAでは回復が速く筋弛緩薬追加投与間隔、総量は多くなる。拮抗薬投与のタイミングはTOF比>40%の回復を待ってから行うと効果がよくなる。
◍術後残存筋弛緩効果による問題点:喉頭咽頭機能の不完全回復による誤嚥、頸動脈小体の化学感受性細胞のVbによる抑制がある。低酸素刺激に対する換気応答が抑制される⇒対策として一般病棟への帰室はTOF比>90%になってから行うべき。
◇ 上田直行:筋弛緩のモニタリング.A net. Vol12. No1 ;30-32:2008 <7/23/2011>
○ [経験] 神経筋電気刺激装置:ニュートレーサー NT-11(Top);M病院泌尿器科でTUR-BT手術時に閉鎖神経ブロックのために使用している器械。(Set高、ms;0.3、Hz1、電流値5.00~6.50mA)で尺骨神経刺激して手指の筋収縮が確認できる。Single Twitch刺激のみだが使用できそう。    <7/25/2011>

60.02.02.02. 覚醒、リバースの確認:rocuroniumからのspontaneous recoveryの遅れ
○ Rocuronium投与後の筋弛緩作用の自然的回復に関する検討
・セボフルランとremifentanilで全身麻酔したPt134例で、rocuroniumを挿管時0.7―1.0mg/kg、維持にrocuroniumを繰り返し10mg bolus IVまたは15―25mg/h持続投与
・ope終了時にremifentanilを持続IVしたままTOF ratioを測定し、Rocの最終bolus IVまたは持続IV中止からの時間とRocによる筋弛緩作用の自然的回復程度spontaneous recoveryを年齢層別に検討した。TOF ratio>0.9を筋弛緩作用からの回復とした。
○ Roc最終投与後2時間以内のrocによる筋弛緩作用からの自然的回復はPtにより大きく異なっている。高齢者では有意に回復が遅い。
○ Rocの投与量は挿管時0.6―0.9mg/kg、維持は0.1―0.2mg/kg bolus IVまたは7㎍/kg/min CIVで指定の範囲内。Ope終了時にTOFを使えない場合もあるのでremifentanilをCIVしながらTOF測定した。
○ 多くのPtでRocの自然的回復(TOF ratio>0.9)に1時間以上を要し、1/3のPtではroc投与中止後1―2時間でもTOF ratio<0.9であった。[若年層(20-48)33%、中年層(49-64)38%、高齢層(65-85)75%]
○ Roc投与終了後1時間以上経ってもreverseが必要である。Sugammadexを投与すればTOF ratio>0.9に回復したが、全例にsugammadexを使用するのは使いすぎであろう。
○ ope終了時にTOF monitorを使ってreverseする必要がある。
◇H. Yamamoto et al: Retrospective analysis of spontaneous recovery from neuromuscular blockade by empirical use of rocuronium. J Anesth (2012), 25: 845-849
○ [注釈] Rocuroniumの作用時間は短いという割にspontaneous recoveryは時間がかかるということ。以前から筋弛緩薬のreverseは必ずせよといわれていたことの裏付けとなっている。Sugammadexを使用したらTOFの測定はいらないというのは言い過ぎだろうか。筋弛緩の回復が何となく十分でないと思われたらアトロピン+ワゴスをIVすること。しかしTOFを使用しなかったら藪医者empiricといわれるのか。   <1/8/2013>

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