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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

100.07. 気道浮腫・狭窄

目次
100.07. 気道浮腫・狭窄
○ 周術期の諸問題のうち、麻酔後回復室での合併症のなかの呼吸器系合併症の内に、上気道閉塞があり、そのうちの一つの問題として気道浮腫がある。:
・気管支鏡や食道鏡、頭頸部手術に際して生じる。乱暴な挿管操作、アレルギー反応、大量の輸液負荷、頭低位などでも生じる。特に小児では上気道の内径が細いため、浮腫のため気道閉塞を起こす危険性が高い。
・[治療] a. 加温、加湿した100%酸素をマスクで吸入させる。
b. 頭部を高位とし、輸液を制限する。
c. 2.25%ラセミ体エピネフリン溶液0.5~1.0mlを生食に溶解したものか、L-エピネフリン1000倍溶液2.5~5.0mlをネブライザーで吸入させる。必要に応じて20分毎に繰り返す。
d. デキサメサゾン4~8mgを6時間毎に24時間静注する。
e. 気道の解剖学的変形は速やかに生じるので、早期に再挿管を考慮する。
◇MGH麻酔の手引き 日本語第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル,620-621:2008
○ [経験] 脳外科の一部では抜管が翌日になったPtなどで速効性のステロイドであるハイドロコートン100mg、ソルメルコート125mgなどをIVしてから抜管することがある。この方法が有効なのかは不明。挿管が長期になり、気管切開になるかもしれない状態でデカドロン4mgなどをIVすることはある。

○ 術後の気道狭窄について:術後の呼吸管理に難渋し高度の気道狭窄を起こし、気管切除再建手術が必要であった症例報告。
◍ 気管挿管し術後に比較的短期間の人工呼吸後に気管の後壁に長さ4cm以上、内径4.9mmに狭窄した症例の報告。32歳、肥満(BMI44kg/m2)、morbid obesityに対するRoux en Y anastomosisによるby pass手術。術前にmild bronchial asthma+. 術後合併症:pancreatitis, anastomotic leakage, sepsis. 気管挿管は7.0mmID high volume, low pressure cuff, 口角から22cmに固定。パイロットバルンを用手的に押してカフ圧を確認した。固いNG tubeを挿入留置した。気管tubeは最長10日間,計69日、NG tube27日、naso jejuna feeding tube42日。最終的に狭窄した気管の切除再建手術を行い治癒した。狭窄部は気管後壁で病理で繊維化していた。
◍ 気管挿管後の狭窄は6-21%、強い狭窄で有症状は1-2%、最近のhigh-volume、low-pressure cuffを使用したcaseでは0.1-1%。元の気管の>30%の狭窄を起こすまで無症状で、診断には3カ月以上かかっている。狭窄は気管tube先端から咽頭までどこでも起こるがcuffが接触して粘膜の微小循環が阻害されたところに多い。前壁及び側壁が多い。後壁には食道があるので少ない。固いNG tubeを同時に挿入留置していると後壁にも起こる。診断は特に狭窄の軽いものでは難しく44%は気管支喘息、慢性気管支炎と診断されている。労作時呼吸困難を訴えることが多く、気管径が10mmになったら起きる。5mm以下になるとstridorが起きる。
◍ 狭窄の原因は長引いた気管挿管と人工呼吸。喉頭狭窄の12%は11日以上の挿管、5%は6-10日、2%は6日以内の挿管。Cuff pressureが35mmHg以上になると粘膜の微小循環が阻害される。Cuffに通気して15分以内でも虚血は起こり、3-6週間で繊維化を起こして治る。その他の因子として、気管に対してtubeの大きさ、頻回のtube交換、女性及びestrogen効果、steroid投与、肥満、喫煙歴、胃酸の逆流、個人的特異反応。全身感染、それに続く血圧低下、気管の灌流圧を上回るカフ圧。Estrogenはgrowth factorβ1の上昇を起こしコラーゲンの沈着を起こして繊維化する。これが女性に気管狭窄が多い原因であろう。
◍ カフの部位と圧を変える必要がある。人工呼吸中の体位変換がカフ圧を変える。カフ圧を測定monitoringすることが重要である。大きく固いNG tubeを避けること。
◇ Visnja Nesek-Adam et al: Post-intubation long segment tracheal stenosis of the posterior wall : a case report and review of the literature. J Anesth vol24, 2010, p621-625 <1/12/2012>

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