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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

130.04.04. ステント留置Ptの抗血小板療法

目次
130.04.04. ステント留置Ptの抗血小板療法
・継続◎:アスピリン、クロビドグレル(プラビックス)
・中止◎:クロビドグレル(プラビックス)
ステントタイプ 留置後期間 術前継続抗血小板療法
ベアメタル(BMS) 6週間未満 アスピリン+クロビドグレル
6週間以上 アスピリン
薬剤溶出(DES) 12か月未満 アスピリン+クロビドグレル
12か月以上 アスピリン

○ 薬剤溶出性ステント(DES)留置患者の周術期管理
・DES留置後、抗血小板を12カ月継続
・予定手術は12カ月延期
・低用量アスピリン(<=300mg)は休薬しない
・不安定冠症候群、および血管内皮再形成期(6~24周)はクロビドグレルを継続
・出血性リスクが高い場合、アスピリン・クロビドグレル併用⇒
    ⇒アスピリン単独投与、もしくはヘパリン単独投与に変更
・PCIあるいはステント留置後、6~12週は緊急手術のみ
◆ Catheter Cardiovasc Interv. 2007; 69(3): 327-333
◇ 木下真帆:内服薬継続の是非について Perioperative medication for safe anesthesia, 周術期セミナー 周術期管理チームに求められる知識と技術  日本麻酔学会,2009  <3/21/2012>


130.04.05. 抗血小板療法のエビデンスと処方の実際:冠動脈疾患
・drug eluting stent(DES)は再狭窄を劇的に減らすdeviceとして急速に普及。遅発性ステント血栓症。 シロリムス溶出stent:Cypher 8/2004
・DESは血管平滑筋細胞の増殖を抑制して内膜の新生を遅延させるためステント血栓のリスクが高いのではないか。
・明確なステント血栓症の頻度:30日;0.35%, 1年;0.59%, 2年;0.78%, 3年;1.2%。DESとBMS(bare metal stent)の明確なステント血栓症の頻度には有意の差はなかった。
・stent留置後の抗血小板療法2剤持続群とチエノピリジン系中止群の比較で6カ月までは2剤持続群が有意にstent血栓症が少ないが、半年経過後は両群にstent血栓症の頻度に差がない。PCI stent留置後6カ月までアスピリン+チエノピリジン系(パナルジン、プラビックス)、6カ月以降はアスピリンのみ。*抗血小板療法2剤持続群:DAPT
・植え込み半年以降の外科手術に際しての抗血小板療法についてはアスピリンをできる限り継続してやむなく中止するのであれば中止期間を最短にすること。
・stent植え込み後の外科手術の頻度:60日0.7%, 1年5.1%, 2年10.2%, 3年14.7%, 年約5%の頻度で外科手術が必要とされている。
・3年間で手術を受けたPt1430人:冠動脈バイパス術189人、非心臓手術1275人(腹部手術19%,血管外科手術18%,整形外科領域手術14%,眼科領域手術13%,ペースメーカー植え込み手術7.6%,内視鏡による消化管手術7.5%.
・DES植え込み術後のPtが ope後30日以内に合併症を起こす頻度:死亡2.4%、AMI0.65%, definite or probable stent血栓症0.28%。⇒DES植え込みPtでstent血栓症が年0.3%で持続するとすれば外科手術を受けることは受けない場合の1年分の血栓症リスクを周術期の1カ月で背負うことになる。
・外科手術の周術期にstent血栓症の頻度が増加する理由:抗血小板薬の中止、手術に伴う交感神経系の活性化、手術創部における止血反応に伴う凝固能・血小板の活性化 etc.
・外科手術時の抗血小板療法の実態:[アスピリン+チエノピリジン系]28%、[アスピリンのみ]30%、[チエノピリジン系のみ]1.3%、[2剤とも中止]40%。抗血小板薬の内服状況とstent血栓症の発生の間には有意な関係は見いだせなかった。
・DES植え込み手技から60日以内に外科手術を受けた場合と、60日以降の場合の(周術期30日以内の)definitiveまたはprobable stent 血栓症の頻度は2.2% vs 0.23%と明らかに60日以内が高かった。⇒stent植え込み手術から2カ月以内はできる限り外科手術を避ける、延期することが望ましい。
・stent植え込み後、半年を過ぎていれば外科手術に際してチエノピリジン系(パナルジン、プラビックス)を中止してアスピリンのみにしてよい。それ以前の期間は可能であれば2剤併用下の手術が望ましい。周術期のアスピリンの継続が重要。
・外科手術とPCIをどちらを先に行うか:虚血性心疾患の既往+、危険因子+で心カテやCT coronary angioで冠動脈に有意の狭窄が見つかった場合:(1)大血管手術において冠狭窄への血行再建と本来の目的手術を先行させるかを検討した報告では冠血行再建を先行させるメリットはなかった。(2)急性冠症候群を示唆する症状がない安定狭心症であれば本来の外科手術を優先すべき。→PCIを先行させ、その後早期に外科手術を行うので周術期合併症が増えるのではないか。
*シロリムス;免疫抑制剤 特異的リンパ球シグナル伝達阻害薬(シクロスポリンの系統) 平滑筋の増殖抑制する。


○ 抗凝固薬
◍ 神経ブロックを試行する場合は中止が基本
◍ 中止にメリットがあるのかどうか考える
◍ 麻酔のためだけに中止は不必要
◍ ステント留置後などは急性血栓の可能性を知るべき
◍ 周術期はかえって過凝固になる
◍ DVT,PEを考慮すれば、今後は中止よりも続行の傾向か?
○ 各抗血栓薬の休薬期間
◍ 抗血小板薬:不可逆性(アスピリン、エパデール):7-10日(血小板の寿命に依存)
◍ 抗血小板薬:可逆性(ペルサンチン、プレタール、ドルナー、オパルモン):1-2日(薬の半減期に依存)
◍ ワーファリン:ビタミンK依存性血液凝固因子(プロトロンビン、第Ⅶ、第Ⅸ、第Ⅹ因子)の生合成を抑制、3-5日
○ ステント留置Pt
◍ BMS bare metal stent:内膜の再生は早いが再狭窄率も高い
◍ DES drug eluting stent:再狭窄率は低いがステント血栓率が高く長期の抗血小板薬2剤投与が必須。
◍ ステント留置後2-3カ月では少なくともアスピリンは継続しておきたい(漫然と中止は?) DESではそれでも血栓症のリスクは高い。
◍ DESは留置後2年位は薬剤中止には議論が必要。
◍ 薬剤中止してヘパリンでコントロールできるのかもしれないがエビデンスは確立していない。
◇ 井上聡己:前投薬の現在について 周術期セミナー 周術期管理チームに求められる知識と技術  日本麻酔学会,2009   <3/9/2012>


抗凝固薬・抗血小板薬…術前中止すべき内服薬
商品名      一般名         適応症      術前中止基準
パナルジン    塩酸チクロピジン    血栓塞栓症    10-14日
バイアスピリン  アスピリン       血栓塞栓症    7日
エパデール    イコサペント酸エチル  高脂血症・ASO   5日
ワーファリン   ワルファリンカリウム  血栓塞栓症    5日
プレタール    シロスタゾール     ASO・脳梗塞    3日
ペルサンチン  ジピリダモール      血栓症・ネフローゼ  2日
セロクラール  酒石酸イフェンプロジル  脳梗塞 2日
アンプラーグ  塩酸サルポグレラート   ASO        1日
コメリアン   塩酸ジラゼブ       狭心症・IgA腎症  1日
プロレナール  リマプロスト       ASO・腰脊椎管狭窄 1日
◇ 木下真帆:内服薬継続の是非について Perioperative medication for safe anesthesia, 周術期セミナー 周術期管理チームに求められる知識と技術  日本麻酔学会,2009  <3/21/2012>

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