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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

100.04. 術中覚醒

目次
100.04. 術中覚醒
○ 術中覚醒の実例
Case1:30歳台♀、正中頚嚢胞 麻酔研修医+麻酔指導医
・fentanyl+チアミラール+ベクロニウムで導入、指導医が別室に呼ばれ10分後に挿管………挿管時記憶を指摘された:チアミラール濃度低下
Case2:60歳台♀、肺腫瘍 麻酔専門医
・硬膜外麻酔+fentanyl+ミダゾラム+チアミラール+ベクロニウムで導入、O2/2L+N2O/4Lで維持SPO2↓のためN2Oを下げた。バイタルサインに変動なし………術中の術者の言葉を記憶:N2O中止、ミダゾラム濃度↓
Case3:40歳台♂、耳下腺腫瘍
・fentanyl+セボフルラン+ベクロニウムで導入、Vbが切れて体動+、セボフルランの気化器が空になっていた………術中の声の記憶あり:セボフルラン切れ
Case4:40歳台♀、S状結腸癌開腹手術、不眠・うつ病で内服治療中
・塩酸リルマザホン(眠剤リスミー)経口前投薬、硬膜外麻酔+TIVA。Propofolはマニュアル投与;2mg/kg bolus投与、10mg/kg/hrで開始したつもりが体重50kgを10kgと設定していた。1/5量しか投与されていなかった。………術後にPtが術中覚醒したとパニックになった:propofolの投与量の設定間違い
◍Case1~4は薬剤の絶対的不足。気化器の残量チェック、ポンプ設定、操作ミス含む。
Case5:30歳台♀、甲状腺機能亢進症
・手術終了近くにpropofolをかなり減量していた………閉創近くの記憶あり:止血など気管近くの操作、甲状腺機能亢進症で心拍出多く、濃度が下がり易かった。
Case6:70歳台♂、残胃腫瘍で胃部分切除
・硬膜外麻酔併用全身麻酔。血圧↓でドパミン投与開始、propofol濃度を下げる………術中開眼あり、記憶あり:propofol濃度低下
Case7:50歳台♀、耳鼻科内視鏡副鼻腔炎手術
・propofol TCI+remifentanil+ベクロニウムで導入維持、局麻薬併用。導入後、血圧↓し、propofol目標濃度、レミフェンタニル投与速度を徐々に下げた。頻拍、血圧上昇、BIS値上昇したのでpropofol目標濃度、レミフェンタニル投与速度を上げたがBIS値は高いままであった………直後に術中覚醒ありといわれた
Case8:50歳台♂、血液透析Pt,閉塞性動脈硬化症ASOで下肢切断
・propofolTCI+レミフェンタニル+ベクロニウムで全麻導入維持。透析Ptなのでpropofol目標濃度は0.8㎍/mlでBIS値は40で安定。血圧↓でpropofol0.5㎍/mlに下げた。夕方に後退した麻酔科医がOPE終了に向かって0.3㎍/mlに下げた。………閉創時の記憶ありと再手術時に指摘された:propofol目標濃度を0.3㎍/mlに下げてからはポンプは実質停止していた。
Case9:50歳台♀、血液透析Pt、腹式子宮全摘術
・propofol TCI20㎍/ml+レミフェンタニル0.2㎍/kg/min+ロクロニウムによる全身麻酔。BIS50で安定、低血圧、徐脈に対し、レミフェンタニル0.1㎍/kg/minまで下げたところ血圧↑、頻脈+となり、鎮痛薬の速度を上げた。………術直後に術中覚醒をPtに指摘された
◍Case5~9はオンラインで静脈麻酔薬の血中濃度シミュレーションがなされていれば、濃度を参考にしてこれらの問題は少なくできた。⇒定期的なポンプの作動、点滴速度の確認が必要。
Case10:点滴が停止してPtへの実際のpropofol投与量が減ってBIS値が上昇。点滴路を再開したらBIS値が回復することがある。
Case11:80歳台♀、横行結腸の悪性新生物 横行結腸切除術+人工肛門閉鎖術
・硬膜外麻酔+propofol TCI+レミフェンタニル+ロクロニウム。途中交代した麻酔科医が未溶解のレニフェンタニルを発見=溶解忘れ。前回麻酔時に挿管困難あり、その準備に気を取られ溶解を忘れた⇒薬剤は溶解調整してからラベルを貼ることにした。
◇ 中尾正和:術中覚醒のモニターとその予後 実例から学ぶ術中覚醒. 日臨麻会誌.vol32. No5. 692-699,2012

○ [経験] 5例の術中覚醒の経験あり。
・1例は古い症例、女性で乳癌に対し乳房切除。NLAで麻酔維持した。術中の会話をかなり記憶しており、術後に主治医と口を利かなくなった。
・2例目は50歳台♀、脳出血開頭血腫除去術後で頭皮弁潰瘍で骨片除去頭皮弁形成術。精神科クリニック受診中。肝硬変あり、血小板減少症あり、術中に赤血球・血小板輸血を行った。1回目血腫除去手術時は意識レベル低下しており、術中覚醒はなかった様子。fentanyl+propofol+Rocで導入、AO+propofol+fentanylで維持開始したが血圧変動ありAO+セボフルラン+fentanylで維持した。血圧低下ありセボフルランを一時中止した。その時に術中覚醒した模様。
・3例目は70歳台♀、脳腫瘍で開頭腫瘍剔出術。セルシンとリボトロールを常用している。Fentanyl+ultiva+propofol+Rocで導入、AO+propofol+ultivaで維持したが開頭時のエアトームの刺激で目が覚め、その後は入眠したと、再手術時に指摘された。
・あと2例は上の項目に既出
◍5例とも女性、上記文献でも女性が多い。そのうち3例は精神科の薬物を服用しているPtであった。このような常用薬が影響するであろうか。肝硬変の症例が2例。
◍AOSだけで麻酔維持していた頃にはセボフルランの濃度を高くしなければならず、セボフルランの消費が速くて空になっていたことがある。最近は1MACていどのセボフルラン濃度しか使わないので空になることは少なくなった。   <12/27/2012>

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