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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

212. 脊椎脊髄手術

目次
212. 脊椎脊髄手術
○ 外傷患者の麻酔:筋骨格系:脊椎・脊髄損傷
◍脊髄損傷は知覚神経や運動神経だけでなく、その部位や程度に応じてさまざまな自律神経異常を示し、心血管系や体温調節、消化器系、泌尿器系に影響を及ぼす。
◍脊髄損傷の慢性期すまわち脊髄ショックから回復し、脊髄反射が戻ってくる時期のautonomic hyperreflexia (dysreflexia)は、損傷部以下の皮膚または内臓刺激による異常な血圧上昇が特徴である。とくに膀胱や消化管の伸展刺激が、血圧上昇や損傷レベル以下の末梢血管収縮、損傷レベル以上の紅潮や発汗、反射性徐脈を生じ、これらは集合反射mass reflexとよばれる。
・この集合反射では交感神経活動の上昇や血中カテコラミンレベルの著しい上昇がみとめられず、末梢アドレナリン受容体の感受性亢進(昇圧薬投与によって異常な血圧上昇反応をみとめる)や血圧上昇に対する下行抑制性反射路の抑制がその本体と考えられている。
・麻酔に際しては痛覚脱失がみとめられるとしても内臓反射を抑制するための脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔、あるいは全身麻酔が選択される。
・反射性の異常高血圧にはニトロプルシドやニトログリセリン、フェントラミン(レギチーン)などが用いられ、その予防にクロニジンを勧める意見もある。カルシウム拮抗薬も同様に有効である。
・体温中枢との隔離により低体温を生じやすいことや、脱分極性筋弛緩薬に対する感受性が高いことも注意が必要。
・全身麻酔では気管挿管を促し、反射性の骨格筋攣縮を防ぐために非脱分極性筋弛緩薬を必要とする。
◍Autonomic hyperreflexiaでは損傷部以下の刺激が節前交感神経の活動性を導き、血管収縮に伴う高血圧、および反射性徐脈と損傷部以上の血管拡張を示すことがその本体と考えられている。交感神経中枢の異常興奮ではない。
・autonomic hyperreflexiaは損傷レベルに依存し、その85%がT6以上の損傷に伴って生じる。一方、T10以下の損傷にはみとめられない。
・脊髄損傷の慢性期ではカテコラミンに対する感受性が増大しているため、たとえばノルアドレナリンやエフェドリンの昇圧効果が健康人に比して大きい。
・脊髄損腫の慢性期では末梢アドレナリン受容体の過敏性を伴う。
◇ [47C3~4] 麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集 第47回2008年度 <4/23/2013>

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