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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

130.10. 長期ステロイド使用Ptの周術期ステロイドカバー

目次
130.10. 長期ステロイド使用Ptの周術期ステロイドカバー
○ 周術期にストレス量のコルチコステロイド投与は必要か
[背景]長期ステロイド使用患者では,視床下部-下垂体-副腎系が抑制され,周術期のステロイドカバーが必要と考えられ,これを行わないと副腎クリーゼに陥るとされてきた.しかしステロイドカバーをせずに周術期副腎クリーゼに陥り死亡もしくは低血圧に陥ったとする報告は3篇のみで,多くの患者では不要である可能性がある.
[目的]長期ステロイド使用患者において必要な周術期コルチコステロイドの補充量を決定する.
[対象]MEDLINE,EMBASE,コクランデータベース上で,プラセボ群とストレス量のコルチコステロイドを比較したRCT研究と,周術期にストレス量のコルチコステロイドを投与しなかった手術患者をフォローしたコホート研究を対象とした.
[方法]研究デザイン,研究サイズ,研究背景,患者背景,ステロイド治療期間,副腎機能検査結果,外科手術の種類,コルチコステロイド投与方法,術中術後血行動態,副腎クリーゼの発症の有無を抽出した.
[結果]1)296研究のうち目的と一致した論文は,2つのRCT研究と7つのコホート研究の計9研究だけであった.これらの研究には389手術を受けた315名の患者が含まれていた.
2)2つのRCT研究では,ストレス量のコルチコステロイドを投与された患者群と,日常使用量のコルチコステロイドを投与された患者群で,血行動態の差は認められなかった.
3)5つのコホート研究において,ストレス量を加えずに日常使用量のコルチコステロイドだけを投与された患者群において,説明のつかない低血圧や副腎クリーゼに陥った患者は認められなかった.
4)2つのコホート研究のそれぞれ1名ずつ(それぞれ5%と1%に相当)が手術の48時間および36時間前に日常使用量のコルチコステロイド投与が中断され,説明のつかない低血圧に陥ったが,ハイドロコーチゾンと輸液に反応した.
[結論]長期ステロイド使用患者では,その日常使用量のコルチコステロイドを投与していれば,ストレス量のコルチコステロイドをルーチンに投与する必要はない.副腎皮質機能検査は感度が高過ぎ,また副腎クリーゼに陥るかどうかを予測できないため,行う必要はない.しかし,アジソン病のような視床下部-下垂体-副腎皮質の原発性疾患ではコルチコステロイドの生理的必要量をすべて投与されているため,周術期のステロイドカバーが必要である. (本田奈々瀬)
◇ Marik PE, Varon J.:Requirement of perioperative stress doses of corticosteroids:a systematic review of the literature.  Arch Surg,2008 Dec;143(12):1222~1226.
◆ ANTENNA for Anesthesia & Medicine http://www.fujipharma.jp/column/anesthsia/pdf/58.pdf
[注釈] 長期ステロイド使用Ptは周術期のステロイドカバーとして常用量の使用は必要だが、周術期のストレスを考慮して追加投与する必要はないということ。  <5/13/2013>

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