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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

203.02. 脳動静脈奇形AVM摘出術

目次
203.02. 脳動静脈奇形AVM摘出術
◎ AVMはfeeder-nidus-drainer、血管構築の先天性異常
◍nidus内には正常神経組織は含まれていない。毛細血管がないので動脈圧が直接nidusやdrainerにかかり脆弱な異常血管の破綻で出血を起こしたり正常神経組織への灌流障害による脳虚血を起こしたり、feeder上に動脈瘤ができて破裂したりする。
◍人口10万人あたり年間1~2人で発見される。脳動脈瘤破裂によるSAHの1/6~1/10の頻度。20~30歳の若年者に多い。若年者の頭蓋内出血の原因の一つ。年間出血率3%前後。出血後の1年間は6%。深部局在のものは出血し易い。
◍急性出血時の管理:呼吸・血圧の管理、再出血予防。
・CT上SAHのみの場合や少量の脳室内出血のみで脳室拡大を伴わない場合は保存的治療。
・普段の血圧で安定するように降圧剤持続静注[ニカルピン0.5~10㎍/kg/min、ジルチアゼム5~15㎍/kg/min]
・頭痛[ジクロフェナク(ボルタレン)SP 25mg]、[ペンタゾシン5~15mgIV]、鎮静[ミダゾラム5~10mgIV]
・テント上AVMの場合は抗痙攣薬の静注[フェニトイン(アレビアチン)125mg/NS100ml 12時間毎]、急性期を過ぎたら経口薬[フェニトイン200mg 分2、バルプロ酸(デパケン)600~1200mg 分2、カルバマゼピン(テグレトール)400~800mg]に切り替える。
・脳内出血で、大きな血腫で意識障害や神経脱落症状が進行する場合は緊急手術(減圧術、ナイダス摘出手術)の対象になるが、術前の血管造影やMRIなどの情報が十分でない時は血腫除去にとどめる。
・急性水頭症を伴い進行性の意識レベルの低下がある場合は緊急脳室ドレナージとなる。
◍術中管理:思わぬ出血になることがあり、輸血は準備しておく。待機的手術の場合は800ml程度の自己血を用意しておく。
・大きなAVMで周囲の脳の血流が著しく低下している場合、nidus摘出中または摘出後に周囲の脳が充血状態になり急性腫脹や出血に遭遇することがある。残存nidusや止血した血管の破綻ではなくNPPB(normal perfusion pressure breakthrough)という病態がある。大きなhigh flow AVMで起こり易い。大きなAVMでは術中からバルビツール療法を用いた低血圧麻酔や脳保護を考慮する必要がある。
・出血急性期の緊急手術の場合:脳圧亢進している⇒頭部挙上(15~20°)、浸透圧利尿[20%D-マンニトール200~300ml急速静注]、過換気(PaCO2 30~35mmH)、バルビツール療法[チアミラール(イソゾール)200mg one shot静注+4~5mg/kg/hr持続静注]
・術中高血圧は降圧薬持続静注(ニカルジピン0.5~10㎍/kg/min、ジルチアゼム5~15㎍/kg/min)で正常かやや低めに維持する。待機手術では血圧は正常範囲で維持する。
◍術後管理は血圧管理が重要。大きなAVMでは全身麻酔下で挿管のまま帰室し、翌日CTで出血がないことを確認してゆっくり覚醒させる。
◇ 野崎和彦:脳動脈奇形:手術療法. 脳神経外科 周術期管理のすべて 改訂第3版, 松谷雅生,メジカルビュー社.53-61, 2009. <12/22/2011>

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