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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

80.07.02. 周術期加温

目次
80.07.02. 周術期加温
○ 1996. Sessler NEJM, UCSF, 麻酔科:結腸手術で積極加温を行った正常体温群(n=104, 36.6±0.5℃)と比べ加温を行っていない低体温群(n=96 34.1±0.6度)では手術部位感染症(Surgical Site Infection: SSI)が多く(6% vs. 19% p<0.001)、経口摂取や抜糸の遅れから入院期間が延長する(12.1日 vs. 14.7日 p=0.001)ことをp<0.001の有意差で示した。
・他施設前向きランダム化臨床試験
・体温低下に伴う末梢血管収縮により末梢組織への酸素供給が低下し、免疫機能の低下につながり、SSIが増加すると推論した。
○ 1996. Sessler Lancet:人工股関節置換術において加温を行っていない低体温群(n=30, 36.6±0.5℃)では積極加温を行った正常体温群(n=30 36.6±0.4℃)と比べて術後翌日までの出血量が有意に多く(1670mL vs. 2150mL, p<0.001)輸血量も有意に多くなる
・体温低下に伴う血液凝固因子や血小板機能低下によると結論
○ 1997. JAMA, Johns Hopkins:非心臓手術において積極加温を行った正常体温(n=142 36.7±0.1℃)と比べて加温を行っていない低体温群(n=158 35.4±0.1℃)では虚血変化などの心臓合併症(1.4% vs. 6.3%, p=0.02)や心室性頻拍症(2.4% vs. 7.9% P=0.04)の発生率が有意に高い
○ 1999, 米国麻酔看護師雑誌「AANA Journal」 周術期低体温で術後感染症、輸血量、心合併症、人工呼吸期間、入院期間、医療費、死亡率すべてが上昇する
○ 2006 米国医療の質改善委員会Institute for Healthcare Improvement(IHI)手術部位感染予防のためのガイドライン:(1)抗菌薬の適正使用、(2)適切な除毛処置、(3)術後血糖コントロール、(4)術後正常体温の維持
○ 2008. 英国国立医療技術評価機構(NICE):術中の体温保持以外に術後加温の重要性。 36℃以下を低体温と定義
◎ 1999/4 Barone. American Surgeon. コネチカット州の地域病院. 消化器外科医がSesslerの論文に反論
・単施設、後ろ向き試験
・150名結腸手術Ptで正常体温群(101例,95.5°F=34.3℃以上)と低体温群(49例,95.5°F=34.3℃以下)のアウトカムに有意差は全くみとめられなかった。飲水開始日、食事開始日、蠕動開始日、術後合併症、術後感染症、術後入院日数も全て有意差はなかった
○ Osler NEJM:Sessler論文の臨床試験のデザイン上の問題点、統計処理の問題点を指摘された。
・術後感染が正常体温群n=104中6名(6%)、低体温群n=96中18名(19%)で有意差p<0.009であるが正常体温群であと2名感染者が多かったらこの有意差は消えてしまう。臨床的に有意といってよいのか
○ 2010. SJ Lehtinen. Annals of Surgery Medical University of South Carolina:SSIの独立危険因子は「糖尿病」と[手術部位が小腸であること]のみ。周術期正常体温であることとSSI発症は何ら関係ない
・周術期β遮断薬投与→否定された
・周術期血糖管理→かえって危険であると否定された
・周術期加温→否定された
○ SSI予防には、予防的抗菌薬投与、正常体温、正常血糖、術後酸素投与。腹腔鏡手術の選択、手術時間の短縮、経口抗菌薬を使用した腸管前処置などを合わせて行う必要がある。1つの因子では解決できない。
◇溝部俊樹 周術期加温のアウトカム LiSA vol21, No6, 2014, p592-594. 周術期加温のアウトカム(その2)LiSA vol21, No7, 2014, p672-675
○ [注釈] 周術期加温によるSSI予防はほぼ否定されたといえる。 <7/14/2014>

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