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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

213.01.02. 脳神経血管内治療に必要な知識

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目次
213.01.02. 脳神経血管内治療に必要な知識 (4)脳動脈瘤に対する血管内手術の基本手技:simple techniqueによる瘤内塞栓術および親動脈閉塞術の実際::麻酔関連のみ
○ 脳動脈瘤に対する血管内手術:1. Simple technique: deviceによるassistなしに脳動脈瘤のtight packingを目標とする。 2. Adjunctive technique: balloon, double catheter, stentなどを駆使してwide nech aneurysmやgiant aneurysmに対する手技。
・瘤内塞栓術で治療困難な動脈瘤(海綿静脈洞部内頸動脈瘤や出血性椎骨動脈解離)に対する親動脈閉塞。
○ 破裂脳動脈瘤の治療:破裂急性期脳動脈瘤における治療の目的は急性期再破裂予防。
・破裂急性期におけるstent併用コイル塞栓術では出血性・血栓性合併症が多く、日本では破裂急性期のstentの使用は現在みとめられていない。
○ 未破裂脳動脈瘤の治療:未破裂脳動脈瘤の自然歴から余命が10―15年以上ある症例で瘤の大きさが5―7mm以上で検討する。
○ 脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術の実際
1. 周術期管理:未破裂・破裂いずれの場合でも局所麻酔に比較して全身麻酔が有利な点が多い。体動がない鮮明な画像が得られる。麻酔科医とコンタクトを取って術中出血時の血圧管理やプロタミン投与。血栓性合併症時の抗血栓療法などの迅速な対応が可能となる。
・全身麻酔のハイリスク症例では局所麻酔下の治療も可能である。
・抗血栓療法の実際:術4日前からクロビドグレル(プラビックス)75mg 1T, 術後1週間はクロビドグレル75+アスピリン100、術後1週―6カ月はクロビドグレル75 1T, 6カ月をめどに終了。
・術中血栓性合併症予防目的に全身ヘパリン化。未破裂例はATCを約2倍、破裂例で約1.5倍を目標とする。出血性椎骨動脈解離や術前再出血はヘパリン化はルーチン化していない…術中出血が多い。
・術中血栓性合併症がない場合はヘパリン化は手技終了時に中止し、プロタミンによるreverseを行う。
・脳血管攣縮期の来院症例は血管内手術が選択されることが多く、塞栓術直後に脳血管攣縮に対する治療が可能である点は血管内治療の利点。
・水頭症を伴う場合は塞栓術直後に腰椎ドレナージを行う…稀に脳室ドレナージが必要になる事がある。
○ 治療手技:血管攣縮を来たした場合はガイディングカテーテルを引き戻して待機するか、血圧に注意しながらニカルピン動注を行う場合もある。
・バイプレーン血管撮影装置の場合、瘤の状態の把握など有利な点が多いが、Ptの被曝線量は多くなる。
○ 術中合併症への対応
◍[術中破裂] 破裂脳動脈瘤で多く1.4―7.2%、未破裂脳動脈瘤では1%以下。
・マイクロカテーテルやコイルによる穿孔はマイクロガイドワイヤーによる穿孔よりも転帰不良が多いとの報告がある(約30% vs 0%)
・マイクロカテーテルやコイルによる穿孔を起こした場合、デバイスを安易に引き戻すことはせず、直ちにバイタルサインの確認と低血圧の維持、ヘパリンのreverse、balloonを誘導している場合には親動脈の一次遮断を行う。コイルを瘤外から巻き始め、これをアンカーとして瘤内にマイクロカテーテルを引き戻しつつ破裂点を塞栓する。十分な塞栓後に造影でextravasationの有無を確認する。
◍[虚血性合併症] 大きな脳動脈瘤、wide neck, balloon-assisited techniqueにおいて起こし易い。動脈瘤内やneckでの血栓塞栓症が原因と考えられる。術前からの抗血小板薬の使用、術中ヘパリン化が有効と報告されている。
・血栓形成をみとめた場合、経鼻胃管からの抗血小板薬追加投与、オザグレルナトリウム投与(カタクロット、キサンボン)。
・血栓溶解やバルンによるPTA(percutaneous transluminal angioplasty)などを検討する。
・血管造影上、側副血行路が十分に発達していると思われる症例でも分枝閉塞が虚血性合併症を引き起こすことがある……PcomA脳動脈瘤においてAllcock testで後方循環からのPcomAの造影が確認されている場合も、PcomAを動脈瘤と共に閉塞した場合に視床穿通枝閉塞を合併することがある。
○ 特殊な脳動脈瘤に対する親動脈閉塞
・親動脈閉塞parent artery occlusion;PAOは瘤内塞栓術で根治困難な特殊な脳動脈瘤(海綿静脈洞部内頸動脈瘤や出血性椎骨動脈解離)に対して行われる。
・PAOは病変部を挟み込むように親動脈をコイル塞栓するinternal trappingと病変部より近位の親動脈をコイル塞栓するproximal occlusionに分けられる。
◍ 1)海綿静脈洞部内頸動脈瘤に対するPAO
・海綿静脈洞部内頸動脈瘤はmass effectにより脳神経症状を呈することがあり、親動脈をコイル塞栓することで動脈瘤への血流遮断するproximal occlusionが治療選択枝の1つとなる。
・内頸動脈瘤に対してPAOを行う場合、虚血性合併症を回避するためにバイパス術による血行再建が必要になることが多い。Balloon test occlusion(BTO)。血行再建当日にPAOを実施している。
・動脈瘤内にコイルを充填せずとも、術後mass effectの増悪を来たし症状が一過性に悪化することがある。
◍ 2)出血性椎骨動脈解離に対するinternal trapping
・出血性椎骨動脈解離は、急性期の再出血率が高く、再出血を来たした場合の死亡率が高いため、発症急性期の外科治療が必要になる。……開頭手術もしくは血管内手術による解離部のtrappingが行われるが最近は血管内治療internal trappingが選択されることが多い。
・椎骨動脈解離部と後大脳動脈、PICAの位置関係、灌流状態によりbypassを行ってからinternal trappingを行う場合がある。
◇ 遠藤英徳 ら:脳神経血管内治療に必要な知識 (4)脳動脈瘤に対する血管内手術の基本手技:simple techniqueによる瘤内塞栓術および親動脈閉塞術の実際 No Shinkei Geka, 40(12): 1107-1118, 2012      <1/24/2013>
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