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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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205.06. 過灌流症候群

目次
205.06. 過灌流症候群
○ CEA術後の問題
◍過灌流症候群
・血圧を低め(収縮期血圧120-130)に管理するとともに、OPE直後(当日)にSPECTを施行し、術側のhyperemiaの所見がみられたら厳密な血圧管理と鎮静、症例により抗けいれん剤の投与を行うようにしている。術前に高度狭窄、脳循環予備能低下がみとめられた例では術後の過灌流に対するより一層の注意を払う。
◍症例:59歳♂、95%高度狭窄でSPECTで右前頭側頭の低灌流をみとめた。右CEA術直後のSPECTで右側に過灌流を疑う所見がみられ、厳重な血圧管理を行った。。4日目に一過性に左顔面から始まる強直間代性痙攣をみとめたが、その後経過良好で20日後のSPECTで過灌流は改善していた。
◍術後の過灌流症候群はCEAに関する未解決の問題の一つであるが、われわれは術直後のSPECTでのhyperemiaを指標として、低血圧をはじめとする厳重な管理を行うようにしている。30例中4例(13.3%)で術直後のSPECTでhyperemiaがみられ、そのうち1例(3.3%)で過灌流症候群(痙攣)を呈したが、その後の経過は良好であった。
◇ 片野広之ら:より安全、低侵襲で確実な頸動脈内膜剥離術のための周術期管理  脳卒中の外科 32: 183-188, 2004

○ 都立府中病院脳外科 1997-2007.3. 10年間 205症例、234病変
・全麻、経鼻挿管。脳波装着、内頸動脈スタンプ圧によりシャントを留置する。
◍術後管理:いったん麻酔を覚醒させて神経症状の出現がないことを確認後、再度鎮静して挿管のまま集中治療室に帰室。もともと神経症状がみとめられる例や覚醒が遅延する例にはMRI(DWI)を撮影して新鮮梗塞のないことを確認する。翌朝、鎮静を切り抜管する。ネックカラ―と共に頸部の安静が目的。
◍術後の過灌流hyperperfusion対策としては、過灌流による脳出血例を経験してからは脳血流検査(術後1日目および4日目)を全例に施行。過灌流(正常値の2倍以上)がみとめられれば症状がなくとも血圧を下降させ、場合によっては鎮静/麻酔管理とする。特に術前の脳血流検査にて高度虚血(Powers stage 2以上)がみとめられる例では術後の過灌流の起こる可能性が高いため、術直後から血圧を術前の8-9割程度になるよう厳密に管理している。
・周術期合併症:症候性128例において4例(3.1%)にstrokeがみとめられ、うち1例は過灌流による脳出血を呈し死亡した。
◇原貴行ら:頸部内頸動脈狭窄症に対する頸動脈内膜剥離術……安全な手術を目指して工夫していること……  脳卒中の外科 36: 355-360, 2008

○ CEA後の主な合併症は卒中、心筋梗塞、過灌流症候群である。
○ 過灌流症候群
1. CEA後のCBF増加は、通常35%以下であるが、術前の200%にもなる症例もあり、死亡することもある。
2. 症状は偏側頭痛、顔面や眼の痛み、脳浮腫、痙攣、脳内出血である。
3. リスクの高い症例は、両側頸動脈狭窄により、術前から脳半球CBF減少のある場合、高度の偏側性頸動脈狭窄で側副血行の少ない場合や偏側性頸動脈狭窄に加えて対側に高度の狭窄がある場合である。
4. 本症候群の原因は、慢性CBF減少による自己調節能が消失した脳への灌流回復である。過灌流は自己調節能回復まで数日間続く。
5. リスクの高い症例では周術期モニタリングに留意し、血圧を調節する。
◇ IA Herrick et al: 脳神経麻酔ハンドブック P. Newfield, JE Cottrell編. 藤田達士 訳. 真興交易. 2012, p151

○ CEAの術後合併症:過灌流
2)過灌流:術後に10%前後のcaseで過度の脳血流増加あり。多くは神経学的脱落症状をきたすことはないが、数%で頭痛、痙攣などの症状をきたすことがあり、過灌流症候群と呼ばれる。最重症型が頭蓋内出血で、予後不良。
・無症候性過灌流→広範囲な大脳皮質細胞の脱落→高次脳機能障害に陥る→術後の対策としては術直後より厳重な血圧管理およびプロポフォールを用いた鎮静に尽きる。
◇ 小笠原邦明:頸動脈病変.脳神経外科 周術期管理のすべて.松谷雅生.メディカル・ビュー.東京.107~118:2010

○ 内シャントを用いずに施行したCEA400症例
◍[結果] 術後死亡(30日以内)4例(1%)。過灌流症候群→MOF;1例、上腸間膜動脈閉塞症:1例、誤嚥性肺炎→腎不全;1例、AMI;1例。
・TIA;13例(3.5%)、脳梗塞;7例(1.8%)(major stroke3例 minor stroke4例)。
◇ 中嶋千也 他:内シャントを用いずに施行したCEA連続400症例における周術期脳梗塞の検討 –術中モニタリングおよび術後のDWIの結果より― 脳卒中の外科. 40: 94-99. 2012     <10/23/2013>
○ [注釈] 術後はBPは収縮期120-130以下に、または術前値の8-9割にするということ。
過灌流で出血など起こしたら大変というのは間違いない。
[経験] M病院の脳外科主治医はBP140/以下に抑えるようにしている。翌日まで鎮静することはしていない。    <10/23/2013>
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