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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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10.03.05. その他必要なモニタ

目次
10.03.05. その他必要なモニタ
○ 必要だと思うけれどM病院にないモニタ
1)筋弛緩モニタ TOF
2)BISモニタ
3)吸入麻酔薬呼気終末濃度モニタ
・筋弛緩薬は脳外科手術では腹部手術ほどには必要ではなく、少なくとも閉頭に際しては1時間位使わないことが多い。またRocroniumはマスキュラックスなどに比べて作用時間が短く、ブリディオンを使えばまず拮抗されると思うのだが、文献報告ではだめだという。
・脳外科手術ではTIVAを行っているのでBISモニタを使いたいところだが、前額部に貼付するし、開頭してしまったら無効だと思う。脳外科手術ではCEAか、LP shunt位しか使えない。TIVAに際してデュプリヒューザーはあるのだが、propofolをデュプリバンではなくマルイシのpropofolを使っているのでTCIもできない状態。
・吸入麻酔薬呼気終末濃度モニタは現在の麻酔器Fabius Tiroを購入した時についてくると思っていたが納入価格の交渉時にはずされてしまったようだ。脳外科手術ではTIVAを行っているので基本的にはいらないのだが。  以上、現時点での言い訳。日本麻酔科学会の安全な麻酔のためのモニター指針では「必要に応じて」と記載されている。
10.03.05.01. 筋弛緩モニタ
・主観的モニタ;刺激に対する筋肉の収縮を目視で評価する、定性的モニタあるいは神経刺激装置と呼ばれる
・客観的モニタ;刺激に対する反応を数値として評価する、定量的モニタ。加速度検出によって収縮反応を定量化するTOFウォッチ(日本光電)と収縮反応を機械的に検出するS/5モニタ(GEヘルスケア)に内蔵されているNMTモジュールがある。
・筋弛緩モニタ装置の意義:気管挿管のタイミングの決定および術後残存筋弛緩の回避。残存筋弛緩と術後呼吸器合併症の関係が明らかになりつつある。
・呼吸器合併症回避の観点からは四連刺激比(TOFR)0.9以上が目標とされる。筋弛緩薬の最終投与からの時間、臨床症状による評価、神経刺激装置を用いた主観的評価いずれもTOFR0.9の達成を確認するのは不可能と考えられている。
・TOFウォッチを用いた客観的評価は神経刺激装置を用いた主観的評価と比較して、回復室での筋力低下に関する自覚症状の発生頻度を減少させる
・加速度検出型の筋弛緩モニタではTOFRが1.0を上回る減少がしばしば生じるので、導入時のTOFR値を基準として術後残存筋弛緩を評価するか、あるいは術後のTOFRのみを用いる場合は1.0以上を目標とすることが推奨されている。
・従来用いられている抗コリンエステラーゼ薬と比較してスガマデクスは速やかな効果発現が得られる、深い筋弛緩状態からでも拮抗が可能など利点が多いが、筋弛緩モニタを用いない状態においてはスガマデクスによっても残存筋弛緩を完全に回避するのは不可能。
・筋弛緩薬を使用する全症例に対して神経筋モニタを装着する体制が望ましい。
10.03.05.02. 処理脳波モニタ10.03.05.02. 処理脳波モニタ
・皮質脳波を特定のアルゴリズムを用いて処理し、鎮静度の指標となる数値として表示するモニタ。
・BISモニタ(日本光電)およびS/5モニタに内蔵されているエントロピーモジュールがある。
・処理脳波による鎮静度を指標として麻酔深度を調節することによって過剰に浅い、あるいは深い麻酔を回避することが可能になり、術中覚醒および覚醒遅延が防止できると考えられてきた。吸入麻酔薬呼気終末濃度測定との比較(大規模比較試験)ではその有用性は確認できなかった。
・完全静脈麻酔の場合吸入麻酔と比較して個人差が大きい点、呼気麻酔薬濃度モニタによる体内麻酔薬濃度の推定が不可能な点により処理脳波モニタの意義は大きい。
・術中の鎮静管理と長期予後の関係:
BIS<45の累積時間が長い症例では1年後の死亡率が高い。
Triple low; 低い麻酔薬濃度(low MAC, MAC<0.8)にもかかわらず、平均血圧(low MAP, MAP<75mmHg)およびBIS値(low BIS, BIS<45)が低い症例では入院期間の延長および長期予後の悪化が示されている⇒1)遺伝的に麻酔薬に対して感受性の高い個体が存在し、MACを指標とした麻酔管理が結果として過剰な麻酔深度になっていた可能性がある。2)Low BISが脳すなわち末梢臓器の灌流不全を示す所見であり、より積極的な循環管理の必要があった。

○ BISモニター
・アメリカでは約60%の手術室にBISモニターが設置され、約17%の全身麻酔症例に使用されている。日本ではアンケート調査で、ほとんどの症例にBISモニターを使用しているのは約37%の麻酔科医。
・レニフェンタニルの登場で使用する麻酔薬濃度が低下したことからBISモニターの使用頻度は増加傾向にある。
◍BISは脳波を解析し、Ptの鎮静度(麻酔薬の中枢神経への作用)を0から100の数字で表示する。BIS値100~90が覚醒状態。80~65が鎮静で、全身麻酔では65~40の間に維持することが勧められている。30以下では脳波はburst suppressionとなり0が平坦脳波を示す。
◍BISの使用は麻酔薬使用量の節減、覚醒までの時間の短縮、術後回復室滞在期間の短縮などに有用であることが報告されている。
◍術中覚醒は全身麻酔の0.1~0.2%に発生するといわれる。術中覚醒は術後に外傷後ストレス症候群PTSDを引き起こすなどPtに有害な後遺症を生じる。BISモニターの使用は全身麻酔中の術中覚醒の頻度を低下させる。最近の報告(Avidanら)ではBIS値を40~60に維持した群は、終末呼気麻酔ガス濃度を0.7~1.3MACに維持する群と比べて術中覚醒の頻度に差がなかった。
◍脳波モニターを全身麻酔に使用する場合、麻酔薬以外の要因が脳波やBIS値の算出に影響を与えることがある。筋電図、ペースメーカーや温風式患者加温器などのノイズはBIS値を上昇させる。何らかの原因で脳波の評価が困難になる場合、BIS値は高めの値をとることが多い。
◍脳の低酸素や低体温は脳波を徐波化あるいは平坦脳波化しBIS値を低下させる。
◍浅麻酔時に強い侵害刺激を受けた場合や麻酔の導入時には巨大なδ波がみられることがあり、BIS値は異常低値をとる。
◍BISモニター下に麻酔薬濃度を上昇させていくとBIS値は低下していくが40付近で低下が止まり、さらに麻酔薬濃度を上げていくとある時点から急激にBIS値が低下する。
◇ 森本康裕:BISモニター Anet vol12, No3, 2008, p3-7 <4/21/2014>

10.03.05.03. 吸入麻酔薬呼気終末濃度モニタ
10.03.05.04. 低侵襲血行動態モニタ10.03.05.04. 低侵襲血行動態モニタ
・循環器系のモニタとしては、血圧測定・脈波の監視、カプノメータ、尿量測定
・従来行われていた中心静脈圧モニタ、肺動脈カテーテルを用いた心拍出量モニタは適応が限定されている。
・低侵襲血行動態モニタは輸液最適化のツールとしての意義が大きい。
・心拍出量あるいはその関連指標を術中のgoalとして輸液負荷、心血管作動薬投与を行う輸液最適化という手法が、出血量500ml以上の手術において術後嘔気嘔吐の減少、早期経口摂取の開始、ICU在室日数の短縮などの改善をもたらす
・Surgical Apgar score: 外科手術後の予後予測システム:術中の推定出血量、平均血圧の最低値、心拍数の最低値から算出する。スコアが低値を呈した症例では合併症発生率が高く、術後30日以内の生命予後が不良である。
◇ 小竹良文:手術室におけるモニタの効率的配置に関する考察 日臨麻会誌 Vol33. No7, p918-924, 2013    <12/26/2013>
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