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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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203.02.03. 脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の病態と治療

目次
203.02.03. 脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の病態と治療……何が違って何が同じなのか
脳動脈奇形と硬膜動静脈瘻の成因と自然歴
◍脳動静脈奇形brain arteriovenous malformation ; BAVMは一般に胎生3週頃に形成される細動脈―毛細血管―細静脈の先天的形成異常が原因といわれている
◍硬膜動静脈瘻dural arteriovenous fistura;DAVFは硬膜に発生する異常な動静脈短絡を病態とする疾患
・遺伝性もしくは特発性要因による既存の血管異常、特に毛細血管の異形成が発端となり、出生後のさまざまな内的、外的因子がBAVMの発生、発育に影響することが推測される。
・特発性AVMで遺伝性疾患である可能性は低い
・BAVMの自然歴:年間出血率は全体で3%(未破裂BAVM2.2%、破裂AVM4.5%)。
頭蓋内出血の既往、BAVMの深部局在、深部静脈流出が主体、および関連脳動脈瘤は有意に出血に関与する。
・小型のBAVM、高齢者は出血に関与しない
・DAVFの自然歴について、Pitonらは何らかのイベント(外傷、手術など)が誘因となり静脈洞の閉塞性変化が起こり硬膜血管の拡張を助長した結果、DAVFシャントが発生、以後短絡血による刺激で静脈流出路の閉塞性変化が進み、最終的には閉塞治癒する。
・皮質静脈逆流を持たないDAVFの自然歴、経時的血管構築変化を検討した結果、経過観察もしくは計動脈的塞栓術によりほとんどの症例(98.2%)で症状の悪化を見ることはない。
・皮質静脈逆流を持つaggressive typeの年間死亡率は10.4%、中枢神経障碍に起因する重篤な有害事象の年間発生率は15.0%(頭蓋内出血8.1%、非出血性中枢神経障碍6.9%)
・皮質静脈逆流を持ち頭蓋内出血で発症したDAVF20例20日間フォローアップの結果、7例(3.5%)が初回出血後2週間以内に再出血した Dffauら。
◇ 里見淳一郎ら:脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の成因と自然歴 脳神経外科ジャーナルJpn J Neurosurg. Vol22, No12, 898-903, 2013

脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の直達術
◍cAVMとdAVFに共通する治療目標はarteriovenous shunt(A-V shunt)の消失による将来的な頭蓋内(再)出血の予防やvenous congestionの解除
◍cAVM手術におけるshunt-point extirpation
・cAVMにおけるshunt pointは脆弱なnidusそのものであり、出血予防のためにはnidusの完全剔出が必要
・手術の難易度にはcAVMの位置、大きさ、血行動態、流入動脈(feeder)・流出静脈(drainer)の数と部位、境界の鮮明さなどの要因がある。
・riskの評価は、nidusの大きさ、周囲脳のeloquence血流の活発さ、deep drainageの有無で分類したSpetzler-Martin grade(SMG)が臨床で広く普及している。
・手術:まず主要なfeederをAVM clipで順次遮断
・術前に安全に術前塞栓(TAE)可能な症例(low grade: SMG Ⅰ、Ⅱ)は術後の急激なhemodynamicな変化を抑える意味でも可及的にTAEをしてflow reductionを行ってから剔出する方針
◍dAVFにおけるshunt-point extirpation
・dAVFのshunt pointは硬膜や静脈洞上にあり、それ自体が出血の原因となるわけではない。
・Borden分類:typeⅠ:durai(sinus) drainageのみ、typeⅡ:dural(sinus) drainageとcortical drainage(venous reflux)双方、typeⅢ:cortical drainageのみ  typeⅠは出血リスクはほとんどない。
・dAVFに対する直達術として以前はshunt pointそのものである罹患硬膜や静脈洞を完全に離断して摘出する術式も施行されたが侵襲性が大きいため、血管内塞栓術が普及した現在では例外的な症例に限られている
・cortical drainageを硬膜にできるだけ近い場所で閉鎖切断する術式が血管内塞栓術でshunt pointへのaccessが困難な症例に対する最終的治療として定着しつつある。
◇ 栗田浩樹ら:脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の直達術 Jpn J Neurosurg vol22. No12. 904-910, 2013

脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の血管内治療
・脳動静脈シャントには流入動脈と流出静脈の間に毛細血管がない
・BAVMには単純な動静脈瘻もあるが、通常は異常血管塊であるナイダスが存在する
◍動静脈シャントに対する血管内治療
・経動脈的塞栓術(TAE)と経静脈的塞栓術(TVE)
・塞栓物質:コイルなど固形塞栓物質と液体塞栓物質;n-ブチル-2-シアノアクリレート(NBCA)やOnix
◍脳動静脈奇形に対する血管内治療
・BAVMに対する血管内治療は開頭剔出術や定位的放射線治療の補助的な役割
・標的は流入動脈とナイダス:すべてを閉塞することは困難、流入動脈が残った状態での流出静脈の閉塞は出血を惹起する。
・ナイダスにコイルは到達できないので液体塞栓物質が必要。NBCAを用いた従来の方法では完全閉塞は10%位。Onyxの使用(適応)は摘出前塞栓のみ
・虎の門病院では全例全身麻酔下に塞栓術を行っている。
39例/59回/8年間:摘出術前塞栓30例、放射線治療前4例、塞栓術単独5例で完全塞栓1例のみ。合併症;脳梗塞4、脳出血2、SAH2、カテーテル穿孔2、カテーテル抜去困難2:症状継続1、死亡なし。
◍硬膜動静脈瘻に対する血管内治療
・DAVFに対しては血管内治療が第1選択治療。流出静脈が標的血管
・DAVFのシャントは硬膜上にあり、流入動脈は複数の硬膜血管で、流出は静脈洞か架橋静脈である。
・流出静脈の閉塞はコイルによるTVEと液体塞栓物質によるTAEがある。一般的にTVEの方が根治性と安全性が高いためsinus typeにはまず考慮すべき
・non-sinus typeであるテント、前頭蓋底、円蓋部、脊髄のTVEは困難。液体塞栓物質によるTAEを考慮する
・虎の門病院61例/68回/8年のDAVF:
sinus type : TVE47回、TAE18回、non-sinus type TAE7回、TVE1回:全例で根治または病態コントロール可能。合併症はSAH3、脳梗塞1、神経麻痺1.このうち永続症状2.9%、死亡なし。
◇ 松丸祐司(虎の門病院):脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の血管内治療 Jpn J Neurosurg vol22. No12. 911-916, 2013

脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻に対する定位放射線治療の役割
・1972年SteinerによるAVMに対するガンマナイフ治療が定位放射線治療の始まり
・小さな病変(<3cm)、手術困難な部位にあるAVMがよい適応
・AVFに対するSRS(stereotactic radiosurgery)1998年Guoによる治療が始まり
・IVRで残存するAVFがよい適応
◍AVMおよびAVFに対するSRSの作用機序
・AVMに対するSRSにおいては20Gy以上の高線量がナイダスに照射されると内皮細胞障害が惹起され、平滑筋の増殖、ヒアリン・カルシウム・コラーゲンの沈着によりナイダス内腔の狭小化が起こる。最終的には血栓形成が起こりAVMの血流が途絶え、結果として頭蓋内出血のリスクがゼロになる。一般に完全閉塞には照射後3年程度を要する。
・ナイダスの大きさ10cc(φ3cm弱)で照射可能。10ccを越えると周囲正常脳への放射線被曝が許容量を超える。
・大脳基底核は放射線に脆弱。脳幹、視路、聴神経、顔面神経は頭蓋内における危険臓器。
・海綿静脈洞を走行する三叉神経、眼球運動神経の許容線量は高く、AVFの治療では問題にならない
・血管撮影上の累積完全閉塞率は4年で80%強。
・閉塞までの期間における問題点としてlatency periodの出血と放射線誘発浮腫。
・latency periodにおける累積出血率:4~6年で4.6%。
・出血のリスクの高い血管構築を要するAVMに対し、塞栓術を積極的に併用したAVM自験321例のガンマナイフ治療成績では血管造影上の完全閉塞80%、一過性脳浮腫40%、放射線壊死3%、latency periodの出血率5%、晩発性放射線障害(放射線壊死・嚢胞、慢性被膜性血腫形成)10%であった。
○ 芹澤徹ら:脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻に対する定位放射線治療の役割 Jpn J Neurosurg vol22. No12. 917-926, 2013       <1/15/2014>
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