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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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100.02.02. 神経集中治療

目次
100.02.02. 神経集中治療
○ 鎮静、鎮痛
◍神経集中治療における鎮静鎮痛の原則
・対象となる疾患:脳血管障害、頭部外傷。痙攣重積、脳炎・脊髄炎
・ICUで行われる鎮静・鎮痛の目的:一般的ICUケアや環境によるストレスの軽減(挿管チューブの留置、吸引処置や体位変換など医療者からの刺激、機器から発せられる音や光刺激など)、急性期の再出血予防、頭蓋内圧(ICP)コントロール、脳エネルギー代謝需要の減少。
・ICUでのせん妄の発症は、入院期間を延長させ、6ヶ月後の死亡率を上昇させる。
・最近ではできるだけ浅い鎮静が主流になっている。
◍日本集中治療医学会専門医施設のアンケート調査では、鎮痛スケールはあまり使われておらず、鎮静スケールはRASSの使用が多かった。
◍鎮痛薬
1) プロポフォール:作用時間が短いため覚醒までの時間は短縮できるが、投与量が増加すると、血管拡張作用のため血圧が低下し、循環動態を維持することが難しい場合がある。深い鎮静を得ることが可能だが、耐性を生じ易く、鎮静レベルを維持するために投与量が増加する傾向がある。トリグリセライド↑、小児への使用は禁忌。製剤と輸液ラインは24時間毎に交換。Propofol infusion syndromeに注意。
・bolus;1~2mg/kg、civ;0.5~3mg/kg⇒2.5~15ml/50kg/hr
2) ミダゾラム(ドルミカム):循環抑制は強くないが、48~72時間以上の長期に使用すると鎮静作用が遷延し、覚醒遅延、せん妄を誘発する。深い鎮静を得ることが可能だが、耐性を生じ易く、鎮静レベルを維持するために投与量が増加する傾向がある。脂肪組織に溶けやすい。
・bolus;0.03~0.06mg/kg⇒1.5~3mg/50kg、civ;0.03/kg/hrより開始し適宜増減
・ミダゾラム10mg/Ap×2Ap/NS250ml⇒civ 20~50ml/50kg/hr
3) デクスメデトミジン(プレセデックス):舌根沈下や気道反射抑制効果が少なく、呼吸抑制効果もほとんどない。非侵襲的陽圧呼吸(NPPV)施行時や非気管挿管患者の浅い鎮静に有利である。弱い鎮痛作用も有している。せん妄の発症を抑制する。低血圧、徐脈、急速飽和時の循環器系への影響あり。
・civ;0.2~0.7㎍/kg/hr(急速飽和 6㎍/kg/hrで10分間)
4) ハロペリドール(セレネース=5mg/1ml/Ap):せん妄に対する治療薬になる。錐体外路症状や悪性症候群に注意。
・bolus;1~10mg civ:ミダゾラム20mg+セレネース10mg/NS250 10~50ml/hr
5) ジアゼパム(セルシン):ミダゾラムと比較すると、呼吸抑制は少ないが、作用時間が長いため調節性に乏しく、ICUの鎮静には向かない。抗痙攣作用、抗不安作用あり。長期の使用で覚醒遅延。局所の疼痛や静脈炎。
・bolus;2~10mg
○日本集中治療医学会専門医施設では気管挿管下に使用される人工呼吸器Ptの鎮静薬は
プロポフォール60%、ミダゾラム25%、デクスメデトミジン22%。
◍鎮痛薬
1) フェンタニル:速効性、鎮痛作用はモルヒネの50~100倍。作用時間は短く、持続投与が必要。心筋収縮力抑制作用や血管拡張作用が少なく循環動態が不安定なPtでも使い易い。呼吸抑制・腸管麻痺。civ:1~2㎍/kg/hr⇒fentanyl200㎍/2Ap+NS16ml;50~100㎍/50kg/hr=5~10ml/50kg/hr
2) モルヒネ:作用時間が4~5時間と長いため、5~10mgを間欠的に投与。呼吸抑制・腸管麻痺
3) ブプレノルフィン(レペタン0.3mg/1.5ml/Ap):麻薬拮抗性鎮痛薬。鎮痛効果はモルヒネの25~40倍。作用時間6~9時間依存性は少ない。・bolus;0.1~0.2mg
4) ペンタゾシン(ペンタジン、ソセゴン):作用時間3~4時間。依存性が強い。末梢血管収縮作用、心筋酸素消費量増強作用のため心疾患を有するPtには注意。・bulus 15~30mg。
5) NSAIDs(ボルタレン、ロキソニンなど):麻薬など他の鎮痛薬の使用量を減少させる。低血圧、腎不全、消化管出血、血小板機能抑制など重大な副作用に注意。
○日本集中治療医学会専門医施設では気管挿管下に使用される人工呼吸器Ptの鎮痛薬はフェンタニル31%、ブプレノルフィン10%、モルヒネ8%、ペンタゾシン7%、NSAIDs4%。
◍鎮静・鎮痛薬の脳への影響
・propofol,midazolamなどのベンゾジアゼピン系薬物は、脳代謝および脳血流量を減少させるためICPを低下させる。ICP亢進Ptには適している
・propofolは投与量が増加すると血圧↓、脳血流量↓、過換気にするとさらに↓。
・デクスメデトミジンは脳代謝への作用が少なく、脳血流量↓。重症頭部外傷Ptでは脳灌流圧低下させる。
・麻薬拮抗性鎮痛薬(ペンタゾシン、ブプレノルフィン)はICP亢進Ptでは禁忌。
・バルビツレートは用量依存性に脳代謝↓、脳血流量↓。他の治療でICPコントロールできない頭部外傷Ptでは考慮しても良い。難治性痙攣重積Ptで持続投与することがある。
◍筋弛緩薬
ロクロニウム、ベクロニウム:ロクロニウムが作用発現時間が速く、蓄積性がないので持続投与で使用し易い。
・神経集中治療領域では、挿管、くも膜下出血の術前再破裂予防、人工呼吸器とのファイティングによるICP上昇、低体温療法などで用いられる
◍鎮静鎮痛方法
○くも膜下出血の再出血(動脈瘤再破裂)は発症24時間以内に多く、予防のために十分な鎮痛・鎮静が望ましい。
・重症例で人工呼吸管理下;術前(クリッピング、コイル塞栓)、プロポフォールやミダゾラムによる深い鎮静(RASS -4~-5)を行う。鎮痛薬としてフェンタニルを持続投与。
・意識レベルがよく、非挿管で管理する場合;術前はプロポフォールでRASS-2位に鎮静し安静を保つ。
・術後脳血管攣縮期には血圧を高めに管理するため、過剰な鎮静薬の投与は控える。
○脳出血・脳梗塞:重症例で人工呼吸が必要なら鎮静+鎮痛。
・ICP亢進して手術(血腫除去、脳室ドレナージ、外減圧)が必要な重症例では深い鎮静(RASS-4~-5)+鎮痛。
・非挿管下の軽症から中等症例では通常、鎮静は行わない
・脳出血急性期に安静が維持できない場合や降圧薬のみで血圧の維持が難しい場合はプロポフォールやデクスメデトミジンで浅い鎮静(RASS0~-2)。
・脳梗塞急性期には、血圧低下により梗塞部位だけでなくその周辺領域の血流も低下するため、降圧薬や鎮静薬の投与は注意を要する。
○頭部外傷でICPが亢進している重症例はプロポフォールやミダゾラムによる深い鎮静(RASS-4~-5)とともにフェンタニルを持続投与する。
・人工呼吸器との同調性が悪い場合、過換気療法によるPaCO2の維持、低体温療法で体表冷却を行う際は筋弛緩薬を使用する。フェンタニルは低体温療法時のシバリングを抑制する。
◇ 小田泰崇ら:神経集中治療 V全身管理 鎮静,鎮痛,筋弛緩 救急医学 37: 1604-1610, 2013    <1/22/2014>
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術後のどうせいじょみゃくはなぜ起こるのでしょうか?

| URL | 2016-07-05(Tue)19:18 [編集]


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