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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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200.03.02. テント上腫瘍に対する開頭手術における麻酔からの回復

目次
200.03.02. テント上腫瘍に対する開頭手術における麻酔からの回復:propofol-remifentanilとsevoflurane-sufentanilの比較
○ テント上腫瘍(supratentorial tumors: STT)の摘出からの迅速な回復は重要である。Propofolやremifentailのような短時間作動性の麻酔薬はこの目的に好都合であろう。この研究の目的はsevoflurane-sufentanil(SS)かpropofol-remifentanil(PR)をSTTに対する開頭手術で投与した2つのBispectral index(BIS)ガイド下の麻酔プロトコルの麻酔からの回復状態を比較することである。
○ 治験審査委員会の賛同と書面にした同意を得た後で、PtはSTTの外科的切除を予定され、PRかSSに無作為に分別される。麻酔はBIS値が45~55に維持されるように調節される。第1の結果outcomeは麻酔中止から抜管までの時間、第2の結果outcomeは簡単な指示への反応と自発呼吸の達成、覚醒時のagitation score、術後のMini Mental State (MMS)、術後のAldorete score、疼痛のVAS、simplified sedation score、GCSおよび外科的合併症である。統計学的分析はANOVAで行った。
○ 結果:SS35名、PR31名。抜管時間は2群間に差がなかった(PR 11.8±6.9 vs. 13.0±8.1分 P=0.577)、Aldorete scoreが10に達する時間、GCSが15になる時間、MMSが30になる時間はSSで第1病日になるまでに低値を示したが有意差はなかった。その他の第2 endpointに差はなかった。
○ STTの開頭切除の間にBISガイド下のPRとSSを比較して抜管時間に2群間の差はなかった。
・頭蓋内手術は脳内出血や痙攣および頭蓋内圧上昇のような術後に生命をおびやかす合併症を伴った高リスクの手術である。術後の意識の変化はこれら合併症の最も良い臨床徴候であり続けている。その結果、迅速で十分な術後の意識の回復は開頭手術に好ましい。
・速効性の麻酔薬と鎮痛薬すなわちpropofolとremifentanilは特に目標濃度traget concentrationを使って投与されると揮発性麻酔薬のマニュアルな投与やsufentanilやfentanylなど、他のopioidに比べて、より基準に合ったmodular麻酔を可能にし、より迅速な術後回復を成し遂げる。さらにBISを使った麻酔深度のモニタリングは多くの研究で、非常に正確な麻酔レベルの目標を成し遂げることが示されている。
・近年、頭蓋内手術の間の種々の麻酔薬と鎮痛薬が研究され、術後回復の質と迅速性について論争になっている。加えて、これらの研究のほとんどは3時間以後の経過には広がっていない。この研究の目的はpropofol-remifentanil併用のBISガイド下目標濃度注入と、BISガイド下sevoflurane-sufentanil併用のSSTsに対する開頭手術後24時間以内の回復状態に関する比較である。従ってこの研究の目的は速効性の薬物(propofol-remifentanil[PR])とより標準的な麻酔プロトコル(sevoflurane-sufentanil[SS])のテント上手術後の術後回復に対する薬理学的関係の評価である。
・フランスの2つの病院Beaujon hospitalとJean Minjoz hospitalで前向き、二重盲検、無作為化トライアル。年齢は18~75歳、ASA-PS;1-2、待機手術、STT剔出手術、BISモニタの使えない前頭部腫瘍は除く、全盲と上肢麻痺、フランス語のしゃべれないものは評価できないので除く。
○ 術中麻酔プロトコル
・前投薬ヒドロキシジン(アタラックスP) 1mg/kg po. 術前1時間
・術前の抗浮腫薬と抗痙攣薬は術当日朝まで経口投与継続、術中は投与せず
・術中モニタは麻酔導入時から付けた:ECG、パルスオキシメータ、 非観血的血圧測定。
・気管挿管後A-line挿入、第2静脈ライン確保、BISモニタ
・術中のBIS値は45~55を維持
・propofol濃度とsevoflurane呼気分画はBIS値45~55になる様に維持
・remifentanilとsufentanil投与は血行動態に応じて調節した。心拍heart rate(HR)、平均血圧mean arterial pressure(MAP)を術前値の-20%~+20%に維持。
・両方の鎮静薬とopioidは標準化された同様のendpointに従って投与された。

・全てのPtはマスクにより3分間酸素化した
◍[PR]・propofol 3㎍/mL 当初濃度、 +1㎍/mL増量、BIS値45~55まで
・remifentanil 当初目標血清濃度 4㎍/mL
・muscle relaxant(cisatracurium) 0.15mg/kg ⇒3分後に気管挿管
・propofol濃度は1㎍/mLずつ増減して目標血清濃度に調節
・remifentanil血清濃度はHR、MAPに従って目標血清濃度を0.5mg/mLずつ増減
◍[SS]・sufentanil 0.2㎍/kg bolus投与 1分後popofol 3mg/kg bolus
・Muscle relaxant ⇒気管挿管
・sevoflurane呼気終末濃度 BIS値に従って1%ずつ調節
・sufentanilはbolusで0.1㎍/kg HR、MAPを-20%~+20%で調節

・術中muscle relaxant(cisatracurium 0.07mg/kg)はTOFモニタに従って投与された。
・硬膜閉鎖中に拮抗薬を投与した(prostigmine 40㎍/kg + atropine 20㎍/kg)
・頭蓋内手術中はBIS値の位置の調整に関しては硬膜が開放されたらBISモニタは休止した。麻酔薬(propofolとsevoflurane)はBISモニタ中と同じ値に保持した。硬膜閉鎖した時にBIS値に従って麻酔薬を投与した。
・術中の血行動態の管理には上述のように鎮痛薬の調節に頼った。さらにMAP<60mmHgの低下にはremifentanilの調節ではなく昇圧薬(血管収縮薬 ephedrine 3mgかphenylephrineネオシネジン 50㎍)の投与を行った。一方、MAPの術前値の20%以上の上昇には麻酔薬の調節ではなくnicarpidine(1mg bolus IV)を投与した。
・換気はair/oxygen(50%/50%)を使い1回換気量と呼吸数はEtCO2:30-35mmHgになる様調節した。低酸素症を予防するために酸素濃度を高くしている。
・周術期輸液は等張生食を2mL/kg/hで投与した。
・体温は36.5~37℃に保った。
・骨片を戻した後、皮膚閉鎖、包帯の時に麻酔を中止した。
・抜管はプロトコルを知らない他の麻酔科医が行った。
・抜管後、PACUにPtを移して術後24時間滞在した。
◍・HR、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧
・simplified sedation score (SSS; 0:awake 1:intermittently asleep but easily woken 2;asleep but awaken by verbal stimulation 3;asleep and awoken by tactile stimulation)
・Glasgow Coma Scale (GCS)
・pain Visual Analogical Score (pVAS)
・MMS scale (Mini Mental State scale)
・Aldorete score (AS)
術後1時間は15分毎に測定、その後、23時間は1時間毎に測定
血糖、鼓膜温、尿量は1時間毎に測定
術後は薬剤は注射で投与:疼痛時paracetamolアセトアミノフェン1g 硬膜閉鎖時投与PACU滞在時paracetamolを6時間毎に1g投与した。Morphine皮下注10mg 6時間毎。
24時間後外科病棟に退出。
◍結果outcome:この研究の第1の結果は麻酔中止から抜管までの時間。
第2の結果は
・麻酔中止から簡単な指示(手を動かせ、眼を開けろ)が入るか。
・自発呼吸
・覚醒時の興奮度agitation score(1:平穏な、2:中等度興奮しているが容易に平穏、3:興奮してほとんど平穏でない、4:強く興奮して平穏になれない)
・術後のAS、GCS、MMS score、SSS、疼痛スコア(pVAS)
・血行動態の安定性をみるためにIV昇圧薬かnicarpidineを使ったかどうか
・術中に脳が弛緩していたか、手術し易かったかどうかは術者に尋ねた。
◍結果results:2006年11月から2010年5月の40ヶ月間に69名のPtが適格で、66名で検討(3名は手術中止)。PR31名、SS35名。
Opeは仰臥位で頭部を適宜回転して行った
・propofolの投与量はPR:1899±837mg、SS:205±58mg
・すべてのPtは定められた鎮痛薬を受けた
○抜管時間は両群間に差はなかった PR 11.8±6.9分 vs 13.0±8.1分 SS P=0.577
○自発呼吸出現時間は両群に差はなかった PR 6.9±5.7分 vs 7.0±5.5分 SS P=0.601
○簡単な指示が入った時間に差はなかった PR 10.5±9.4分 vs 11.9±7.8分 SS P=0.306
○術中昇圧薬 PR 46.7% vs 48.6% SS P=0.878
○術中nicarpidine PR 3.3% vs 0.0% SS P=0.461
○agitation scoreに差はなかった
○すべてのPtは術前にAS10、GCS15、MMS30であった
・術後AS10、MMS30、GCS15の到達時間はSS群で有意に短かった
○pVAS score4、SSS1到達時間は2群間に差はなかった
○術後合併症(脳内出血、血腫、気脳症、痙攣)は有意差はなかった
○外科的切除の困難さに差はなかった
◍討論:2つのBISガイド下の麻酔プロトコル、PRの目標濃度に関したプロトコルとSSのマニュアル投与群でテント上腫瘍剔出術において麻酔中止から抜管までの時間には差がなかった。
また神経学的所見GCS、認知機能MMS、麻酔からの回復時間AS、術後の疼痛・鎮静に関して両群間に差はなかった。
・頭蓋内手術は周術期の血行動態の安定、術中の手術を容易にするための脳の弛緩、術後合併症の迅速な診断と治療を可能にするための神経学的機能の迅速な回復が求められる。・多くの研究で開頭手術の間のpropofol and/or remifentanilの投与に関連した回復状態の観察が行われてきた。
・短時間作動性opioidであるremifentanilと他のopioidを(鎮静薬としてpropofolかsevofluraneを使用して)比較したり、短時間作動性の鎮静薬propofolと新しい揮発性麻酔薬(sevoflurane or desflurane)を使って開頭手術後の術後回復に関しては議論のあるところである。
・fentanylを持続投与するとCSHT(context-sensitive half time)の関連で回復が遅くなる。
・propofolとsevofluraneのCSHTも回復時間に関与する
・BISモニタは開頭手術では正確ではないかもしれない。
◇ Skander Necib et al.: Recovery from Anesthesia after Craniotomy for Supratentorial Tumors: Comparison of Propofol-remifentanil and Sevoflurane-Sufentanil (the PROMIFLUNIL Trial) J Neurosurg Anesthesiol Vol 26, No 1, 2014; p37-44 
[注釈] 臨床麻酔の実感としてpropofol-remifentanilとsevoflurane-fentanylは術後抜管時間や、覚醒状態にあまり差はないように思える。確かにfentanylを持続投与したりtransitional opioidとしてfentanylを投与すると回復が少し遅くなるが、術直後の鎮痛・鎮静にはいいようにも見える。それにしても開頭手術時の麻酔手順がよくわかる。    <3/12/2014>
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