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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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脳動脈瘤性SAHに続発する脳動脈攣縮cerebral vasospasmの内科的治療法

目次
201.04.02. 脳動脈瘤性SAHに続発する脳動脈攣縮cerebral vasospasmの内科的治療法
○ 脳血管攣縮は脳動脈瘤性くも膜下出血aSAHのPtの有病率と死亡率の主たる原因である。最近の内科的治療の臨床的試みの文献的レビュー。
・最近の脳vasospasmのPtに対する最強のエビデンスは予防的nimodipineの経口投与とTriple-H Therapyの開始である。
・その他の薬物としてはマグネシウム、スタチン、エンドセリン受容体拮抗薬、酸化窒素誘導体、フリーラジカルスカベンジャー、トロンボキサン阻害薬、血栓溶解薬、抗炎症薬、神経保護薬である。
・有望なデータがいくつかの治療法で明らかになりつつあるが前向き無作為臨床試験は少ない。十分な比較研究のためにはvasospasmの定義と結果outcomeの基準を解決しなければならない。
○ aSAHは毎年USAで約3万人に発症しており、cerebral vasospasmは全てのaSAHのPtの70%で起こるといわれ、morbidity & mortalityの主たる原因となっている。
(1) Triple-H therapy
・Hypertension、hypervolemia、hemodilution and hemodymamic therapy この戦略は血管内容量を拡張し、血液粘稠度を減らすことにより脳血流量を増加させることを意図している。高血圧は容量の増加だけでも達成されるかもしれないし、フェニレフリン(ネオシネジン)やドパミンのような昇圧薬を加えることでも達成できる。容量の増加は心拍出量COを増やし、血管抵抗を増やし脳の低灌流領域の脳血流量を維持する。Hemodilutionはtriple-H therapyの中では最も効果が少ない要素である。Hematocritの目標30-35%は酸素運搬能と血液粘稠度の最良のバランスであると示唆されている。Triple-H therapyを始める時の注意は潜在的合併症として心肺不全、脳浮腫の悪化、腎不全、低Na血症、敗血症、理論的には未破裂の脳動脈瘤の破裂などが含まれている。
・Triple-H therapyは大規模前向き臨床試験が不足しているにも拘らず広く受容されている。管理方法が著しく異なって直接比較ができない。
・外科的クリッピングを待っている(術前)aSAHのPtのRCTで中枢作用性降圧薬や血管拡張薬を使用したPtでは、利尿薬と水分制限で管理されたPtに比べて著しくvasospasmと術前の死亡率を減らした。水分制限は好ましくない結果outcomeと関連しているようだが、euvolemiaはhypervolemiaより優れているというエビデンスはない。
・外科的クリッピング後に(出血後14日目まで)hypervolemiaはeuvolemiaかのRCTでは脳のvasospasmは両群とも20%で、1年後の臨床的outcomeには有意差はなかった。
・triple-H therapyで治療したPtは合併症が多く医療費もかかった。
・triple-H therapyの前向きRCTのメタ解析では症候性のvasospasmが有意に減少した。死亡率も減少したが、後期の神経学的欠落の減少には関与しなかった。
・予防的triple-H therapyを推奨できる十分なデータはない。
・脳血流を増やすためにはhypertensionがhemodilutionやhypervolemiaより有効といわれている。
・最近のAHAのGLはvasospasm予防のためにeuvolemiaの維持を示唆し、活動性の脳vasospasmのPtには誘導された(薬剤による)高血圧を奨めている。レントゲン的なvasospasmのエビデンスより前にhypervolemiaにすることを奨めている。
・hemodynamicなエンドポイントや特殊な治療薬の利用に関してエビデンスに基づいた基準がないためにかなりの臨床的変化が生じている。いまだに27%が予防的hypervolemiaをNICUのないところで行っている。予防的hypertensionをおこなっているのは12%だけ。臨床的徴候に加えてTCDやangiographic vasospasmを奨めている。SBP(収縮期血圧)の目標は140-240mmHg、MAP(平均動脈血圧)は70-210mmHg。41%はHyperdynamic therapyにdobutamineとmilrinonを使っている。Dobutamineもmilrinonも確かなRCTはない。
(2) Calcium Channel Blocker
  ・calcium channel blocker(CCB)は悪い結果を減少させ、nimodipineの経口投与が有効である。 CCBは悪い結果のリスクを下げる。
1) Nimodipine
  ・nimodipineはdihydropyridine calcium antagonistでL-type calcium channelからのcalciumの流入をブロックし、血管平滑筋に対する領域的選択性を抑制する。
  ・経口nimodipine投与はaSAHの場面での標準治療になっている。脳血管のvasospasmの治療ではFDAで唯一認可されている。Angiograph上のvasospasmを有意に逆転させはしない。軟膜のcollateralからの増加を伴った小血管抵抗の減弱のような血管に対する効果やcalciumを仲介とする興奮性の減弱による神経保護作用などの機序があるのかもしれない。
  ・経口nimodipine投与は3ヶ月後の脳梗塞を35%減らし、悪い結果を40%減らした。
  ・遅発性の神経学的欠落を38%減らし、脳梗塞を48%減らした。
  ・加えてnimodipineは安全で費用対効果がよかった。
2) Nicardipine
  ・dehydropyridine calcium antagonistで非経口投与により血管平滑筋の領域的選択性を示す。血管造影上のvasospasmを減らし臨床上も改善させた。
   ・nicardipine治療はvasospasmの頻度を有意に減らしたが3ヶ月後の臨床的outcome(Glasgow Coma Scale)はplaceboと変わらなかった。
   ・除放性のnicardipineをクリッピング中にbasal cisternに移植したら血管造影上のvasospasmを減らし、1年目のmodified Rankin Scale scoreを改善した。
   ・脳室内にnicardipineを入れたらTCDの流量粘稠度が減弱したが3カ月の臨床結果は有意差がなかった。
3) Fasudil (エリル)
・日本で初めに研究されたCCB。Rho-kinaseシグナル経路の抑制により内膜の狭窄を予防する。
・14日間fasudilをIVしたら血管造影上のvasospasm、症候的vasospasm、画像上の梗塞、1ヶ月後の臨床結果を改善した。
・fasudil IVとnimodipine IVを比べたら、症候的vasospasmと臨床的画像上の梗塞は同等であったが、1か月の臨床的結果はIV fasudilのほうが良かった。
・2012のメタ解析ではIV fasudilは血管造影上のvasospasmを減らし、vasospasm関連脳梗塞を減らした。
(3) Magnesium
   ・aSAHの状態におけるCCBの効力が平滑筋の収縮を抑制するための電圧-依存性のcalcium channelを結合する二価のcationであるmagnesiumの研究を導いた。Magnesiumはglutamateの放出を抑制することによって神経保護的利点を示すかもしれない。
   ・IV magnesiumが平均TCD粘稠度を減らし(有意差はない)Glasgow outcome scoreを改善した。
   ・有意差はないが徴候的vasospasmを減らし、TCD上昇の期間を有意に減らした。
   ・有意差はないが12カ月の臨床的outcomeを改善させたが、IV magnesiumのPtはhypocalcemiaとhypotensionを含む副作用が有意に多かった。
   ・14日間連続のIV magnesiumを受けたPtは有意ではないが遅発性の脳虚血の減少と同様に3カ月の悪い臨床的outcomeを減らした。
   ・大規模試験でIV magnesiumは6カ月のoutcomeで理想的な結果を示した。
(4) Statins(メバロチン、リポバス)
   ・hydroxymethylglutaryl coenzyme A reductase inhibitorsを通常statinという。Endothelial protection, 抗炎症作用などを介して脳血管vasospasmを減じるといわれている。
   ・メバロチンpravastatinでTCDで診断されたvasospasmが32%減少した。
   ・pravastatinでvasospasm関連虚血性欠落と死亡率が減少した。
   ・simvastatinリポバスで治療したPtでもvasospasmは減少した。
   ・メタ解析でもvasospasm、虚血性の神経学的欠落、死亡率が減少した。
   ・最近のRCTでは有望な結果は出ていない。
   ・statinは虚血性の神経学的欠落を減少させたが、死亡率は下がらず神経学的回復も悪かった。
○ [伝聞]くも膜下出血患者へのスタチン投与に有益性認められず
◆ Kirkpatrick PJ et al. Lancet Neurol 2014; 13. 666-675
◇ Medical Tribune vol47, No30 2014.7.24
(5) Endothelin Receptor Antagonist
   ・血管平滑筋細胞に作用して血管収縮作用のあるペプチドのendothelin 1を阻害する。
  ・Vasospasmを減少させるが肺合併症(肺水腫)、低血圧、貧血などを起こすので議論が起こっている
(6) Nitric Oxide(一酸化窒素)
  ・nitric oxideの枯渇は血管拡張反応の減少と関連している。この関係は一酸化窒素合成を増加させてvasospasmの治療と直ちに結びついた。
  ・nitric oxideの直接的供給元であるニトロプルシドを髄腔内に予防的に投与された。血管造影上vasospasmのあるPtの5/6で改善がみられ、神経学的欠落を起こしたPtはみられなかった。
  ・脳室内にニトロプルシドを入れて治療したPtでTCD粘稠度が改善した。
  ・難治性の脳血管vasospasmのPtで脳室内にニトロプルシドを入れた時の効果と期間に大きな変化があった。効力が増加するには早期に注入して、投与し続けることによるかもしれない。
  ・deoxyhemoglobinと接触してnitritesはnitric oxideを経て血管拡張能力を得る。
・sodium nitriteの14日間持続静注は霊長類のSAHモデルでvasospasmを予防した。
2) Sildenafil
  ・シルデナフィルはnitric oxide-cyclic GMP経路に作用して血管拡張を起こすphosphodiesterase阻害薬である。難治性の症候性vasospasmでTCDの改善と兆候の軽減が得られた。
(7) Free Radical Scavengers
1) Tirilazad
  ・死亡率の減少と3カ月の臨床的outcomeの改善が見られた。女性より男性で有効だった。
  ・症候的vasospasmの頻度、3カ月のoutcomeに差はなかった報告もある
  ・性差があったので女性にhigh-dose投与を行ったら症候的vasospasmも脳梗塞も減少した。3か月の死亡率は差がなかった。
  ・症候的vasospasmも臨床的outcomeも差はなかったがWFNSのgradeⅣ,Ⅴで死亡率が低下したという報告あり。
2) Nicaraven:nicaraven静注は遅発性の神経学的欠落と1カ月の悪いoutcome、全死亡率を減らした。
  3) ebselen:経口投与でvasospasmを減らすことはできなかったが臨床的outcomeは改善した。
  4) edaravon:vasospasm関連の欠落に有意差はなかったがvasospasm関連脳梗塞の頻度を減らし3カ月の悪いoutcomeを減らした。
(8) Thromboxane Inhibitors
  ・領域的血管収縮と好血栓性の作用を持つ血小板由来のthromboxane A2の抑制剤。
1) Ozagrel (カタクロット): 選択的thromboxane合成阻害薬。vasospasmと、画像上の梗塞を減らした。
・ozagrel+fasudilとfasudil単独の比較試験で臨床結果は同等。Fasudil単独の方が臨床的outcomeも症候的vasospasmも減らした。
(9) Anti-Inflammatory Treatment
 ・aSAHの初期にserine proteaseは補体の経路を活性化させ脳vasospasmを巻き込む。
・Nafamostat (フサン):serine protease阻害剤でthrombinとplasminを抑制し炎症を減らす。遅発性の脳虚血と脳梗塞を減らした。
・nafamostat+ozagrelで症候的vasospasmをozagrel単独よりも減らした。
・cyclosporine:vasospasmは防げなかった
・dexamethasone:外科的クリッピング後に局所的に投与したらvasospasmを減らし、中大脳動脈のTCD粘稠度を減らした。
 ・methylpredonisoloneを高用量投与で症候的vasospasmに差はなかったが、excellentなoutcomeが増えた。12か月の悪いoutcomeが減少した。
(10) Thrombolysis
 ・くも膜下の血液の量は脳のvasospasmの独立した予測因子である。SAH後に脳脊髄液からの血液のクリアランスを増加させるために血栓溶解剤が注目された。
・ tPA:外科的クリッピング後に脳槽内に単回投与したら、severe vasospasmの相対的リスクの減少がみとめられた
 ・urokinase:脳動脈瘤コイリングを受けたPtでcisteruma magnaへの髄腔内投与症候的vasospasmが減り、6カ月のoutcomeが改善した。
 ・メタ解析では血栓溶解剤は遅発性の虚血性神経学的欠落の絶対的リスクを減らし、悪いoutcomeは9.5%で死亡率は4.5%だった。血栓溶解剤の全体的な合併症の率は少ない。UrokinaseとtPAの差はない。
(11) Neuroprotein and Other Treatments
・虚血性脳卒中と外傷性脳損傷の状況で神経保護作用を示した薬物がSAHでも評価された。
1) Dantrolene:ryanodine receptor calcium channel antagosist. 細胞内のcalcum放出を阻害し、神経保護作用を示す。Low-doseで収縮期TCD粘稠度を減らした。血圧低下が副作用。
2) Erythropoietin (EPO):動物実験でantiapoptotic抗アポトシス、antioxidative抗酸化性、angiogenic血管新生、neurotrophic神経保護 の作用を示した。
・SAHのPtでEPO(IV)したが症候的vasospasmの頻度も6カ月の機能的outcomeも差はなかった。
・全体的なvasospasmの頻度に差はなかったが、良好な状態で退院できたPtの数が増えた。重症なvasospasmが減り、脳梗塞が減少した。
3) Enoxaparin:未分画ヘパリン誘導体。Free radicalの産生を抑制する。
・enoxaparin皮下注では3カ月のoutcomeに差はなく、1.1%が頭蓋内出血を来たした。
・その後の研究では低用量投与で虚血性欠落の頻度が有意に少なく、vasospasm関連脳梗塞も少なかった。頭蓋内出血も少なく12カ月outcomeも良好だった。神経保護作用に加えてenoxaparinは深部静脈血栓を予防する利点もあった。
4) Human albumin:脳虚血の動物モデルで脳保護作用を示した。
・25%ヒトアルブミンを増量して投与した。脳梗塞を減らし、3カ月のoutcomeを改善した。大きな合併症はない。
○ aSAH後の脳vasospasmに対する治療で最も強いエビデンスがあるのはnimodipineの予防的経口投与とtrilpe-H therapyの開始である。
・画像上のvaspspasmと遅発性の神経学的欠落の矛盾が問題である。
・delayed cerebral ischemisの概念が浮かび上がってくる
◇ P. Adamczyk et al. Medical Management of Cerebral Vasospasm following Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage: A Review of Current and Emerging Therapeutic Intervebtions Neurological Reserch International Volume2013, Article ID 462491, 10pages. <9/5/2014>
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