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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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201.10. 脳動脈瘤性くも膜下出血の術中再破裂

目次
201.10. 脳動脈瘤性くも膜下出血の術中再破裂
○ [経験] 50歳台♂。164cm、70kg。朝AM6:30頃、髭剃り中に急に激しい頭痛、冷や汗、気分不良が出現し、救急車要請して、AM7:15(発症から50分)病院到着した。
・BP156/80, P77bpm, BT36.4℃, SPO2;98%、JCS1、GCS15, MMT:四肢麻痺なし。頭部CT:びまん性SAH. ペンタゾシン7.5mg(IV)してCTA: A-comに4.3×2.7mmの動脈瘤あり、軽度水頭症あり。CXR)軽度肺うっ血あり。Hunt & Kosnik分類;grade Ⅰ、WFNS分類;grade Ⅰ.diltiazem(DIV)してBP160/→140/。
・AM8:15(病院到着後60分)に強い頭痛が出現し、BP200/まで上昇した。JCS20→100. ニカルジピン2mg(IV), ペンタゾシン7.5mg (IV)、頭部CT再検:びまん性のくも膜下血腫見られ、前大脳縦裂を中心に血腫増大しており、再出血あったようである。右側に少量の硬膜下血腫も出現し、中脳もやや左側に圧排されている。脳動脈瘤再破裂と診断した。Hunt & Kosnik分類;grade Ⅳ、WFNS分類;grade Ⅳ.AM9:00緊急開頭クリッピング目的で手術室入室。
・[導入] 入室時BP170/80、P70bpm, fentanyl150㎍+2%xylocaine100mg(IV)+ propofol 120mg+rocuronium50mgで気管挿管。Spiral tube; ID8.0; smooth.
・[維持] propofol 3mg/kg/h→4mg/kg/h、ultiva 5mL/h=0.12㎍/kg/min→7mL/h=1.6㎍/kg/min。気管挿管では15mmHg程の収縮期血圧上昇。A-line挿入。左側臥位でspinal drainage挿入した。徐々にBP低下しBP130/75になった頃、頭部4点pin固定でBP160/75に一過性に上昇。BP115/55位で執刀。
・propofol 4→5mg/kg/h、ultiva 7→8.9mL/h=0.25㎍/kg/minと増量し、執刀後15分位でBP135/75に上昇、急にP45bpmと徐脈になった。BP190/90~200/105と上昇し、ニカルジピン2mg(IV)、アトロピン0.5mg (IV)、セボフルランを開始した。15分でBP125/65に低下した。
・[術野の所見] 開頭中にBP200/と血圧上昇に伴って硬膜の緊満が出現したが数か所で硬膜の吊り上げ後に硬膜切開を行ったところ、明らかな再出血を疑わせる所見はなかった。BP低下傾向と共に脳の緊満も改善していった。しかし脳のtensionはやや高めであった。
・[術中経過] その後、AOS+propo 3mg/kg/h+ultiva 7.1mL/h=0.2mg/kg/minで維持し、BP90/55で安定し、P90~55bpmに漸減していった。顕微鏡手術終了後、transitional opioidとしてfentanyl 25㎍ずつ計125㎍(IV)。終刀後BP150/80、Aldorete score 7点で未覚醒のまま自発呼吸で抜管せずRRに帰室した。術直後のfollow upCTで血腫の脳室内穿破を確認した。
・[術後経過] 1PODにJCS30で気管挿管チューブを抜管。2PODに再び呼吸状態が悪化して再挿管。5PODに抜管。JCS3まで回復したが水頭症が進行し、25PODにAOS+ultivaでVP shunt造設を行った。術後7週目:JCS3、mRS;5   <9/19/2014>
○ [注釈] 術前の再破裂に対しては鎮静の不足が考えられる。鎮静のために使用していたエコナールが製造中止、propofolの適応外使用問題が騒がれてから鎮静薬が意識的には使われていない。
・術中再々破裂に関しては鎮静鎮痛をもう少し強力にして血圧を下げた方が良かったか?
[伝聞] 脳外科Drが自科麻酔を行っていた頃には収縮期血圧を90/以下にするように言われていたという。
○ 術中脳動脈瘤破裂
1.導入中から術中の脳動脈瘤破裂(動脈瘤到達前7%、動脈瘤分離時48%、クリッピング時45%)では、低血圧や一時的閉塞などにより著しく死亡率を増し、予後を悪化させる。
2.導入前後での破裂診断は急激な血圧上昇で、徐脈を伴うことも伴わないこともある。ICPも同様に上昇し、TCDは診断と治療効果を示す。
3.治療:脳圧を下げ、脳灌流破裂?を第一とし、チオペンタールかSNP(ニトロプルシド)で低血圧にし、出血を減らすとともに、晶質液、膠質液や輸血などで体液量を回復させる。
4.術中の破裂は速やかに体液量減少を補い、近位、遠位の隣接血管の血圧を短時間低下、40~50mmHgとして、一時的閉塞を行い、その後血圧を高めて側副血行を増した後、クリッピングを行う。
○ 導入時の動脈瘤破裂は致命的である。円滑、静穏な導入では、挿管時の高血圧を避け、気管内チューブへの抵抗や咳嗽反射を止め、脳灌流を保ちながらも、動脈瘤壁と隣層壁との圧差を最低にする。
○ 導入前後での動脈瘤破裂には、純酸素での過換気とチオペンタール静注をする。これにより血圧も下がりある程度脳保護作用もあるが、血圧が下がり過ぎると逆効果となる。急速開頭による「レスキュークリッピング」を導入中に行う。
○ 腰椎穿刺などでのCSF排液を急速に行うとICPが急減し、脳灌流が急増して逆に脳動脈瘤破裂を招く。しかし、脳灌流抑制時にはCSF排液が有効である。
◇ Philippa Newfield, James E. Cottrell. Handbook of Neuroanesthesia Fourth Edition 脳神経外科麻酔ハンドブック 藤田達士訳 脳動脈瘤手術の麻酔 真興交易. 東京. 2012. P124-144 <9/24/2014>
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