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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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10.09.01.06. 筋弛緩薬ロクロニウムRbの使い方

目次
10.09.01.06. 筋弛緩薬ロクロニウムRbの使い方
気管挿管時の筋弛緩
・ロクロニウムRbは神経筋遮断作用が速い、中時間作用性、活性代謝物の影響が少ない、持続投与が可能→症例によって効果の差が非常に大きい(筋弛緩薬全般に言えること)⇒気管挿管時は各筋弛緩薬の95%有効投与量(ED95)の2~3倍を投与する必要がある。
・RbのED95は0.3mg/kg⇒通常の気管挿管時は0.6~0.9mg/kg必要 0.3mg/kgは母指内転筋における有効量→横隔膜におけるED95は0.5mg/kg
・挿管時には1.0~1.2mg/kg(海外) ⇒筆者は1.0mg/kgを勧める。
・投与量が多くなれば作用持続時間は延長する
・麻酔薬は食道括約筋圧を有意に低下させる→フルストマックPt,逆流性食道炎,食道裂口ヘルニアなど胃内容逆流を生じやすいPt→迅速導入、迅速気管挿管rapid sequence induction and intubation(RSII)
・Rb投与後60秒以内に95%以上の確率で気管挿管を可能にするには1.04mg/kg必要。RSIIの際には1.0~1.2mg/kg
○ 胃内容逆流の危険性がある時は意識下挿管or[タイミングプリンシパル]
1)頭高位にて脱窒素
2)リドカイン1mg/kg iv(Rbによる血管痛予防) or Remifentanil civ(1㎍/kg/min=3.6mg/60kg/h)
3)30~60秒後 Rb 1mg/kg bolus iv Rbの筋弛緩効果は30秒以内
4)Rb投与後15秒くらいしたらpropofol就眠量(1~2mg/kg)投与
5)Rb投与60秒後、輪状軟骨圧迫しながら迅速気管挿管
・高齢者でも若年者でも終板の機能は変わらないので投与量の差はない。高齢者では作用発現は遅く、持続時間は延長する。
・高齢者ではRb1mg/kg投与で作用発現は2~3分(若年成人は1分)
○[プライミングプリンシパル]
・Rb0.03mg/kg+0.97mg/kg→筋弛緩までの時間を短縮する
・Rb1.0mg/kg投与ではTOF母指内転筋の反応でも安全な気管内挿管ができる
◇ 山本聡美ら. 気管挿管時の筋弛緩 ロクロニウムは呼吸筋におけるED95の2倍量を投与すべし LiSA, Vol20, No9. 2013, p834-838 <11/27/2015>

術中の筋弛緩薬投与とモニタリング
・Rbは持続投与に適した特徴を持つが投与量の個体差が大きい
・尺骨神経刺激に対する母指内転筋収縮反応を測定  母指内転筋の第1単収縮高(T1)をコントロール値の5~10%に維持するのが術中筋弛緩の目標
・喉頭筋や横隔膜が母指内転筋と同程度の筋弛緩を得るには1.7~2倍の投与量を要す→母指内転筋でT1=10%回復時に喉頭筋は約50%、横隔膜は90%回復している。
・術中の咳反射などを抑制するには母指内転筋T1=0(単収縮反応なし)が必要
テタヌス刺激後カウントpost titanic count(PTC)=2~3以下が目標
・PTC=1~2以上あればスガマデクス4mg/kg投与で速やかに拮抗可能  従来の術中筋弛緩目標はT1=5~10%であったがこれはスガマデクス以前の目標
・TOF Watchなどは測定部に布が触れると測定に影響する。測定部は保温が必要。
・下肢の反応は母指内転筋と同様
・手術終了時の回復の確認は母指内転筋で行う。回復がより遅い母指内転筋で十分な回復が確認されれば呼吸や嚥下運動などに必要な筋力も十分回復し、残存筋弛緩に起因する合併症を防ぐことができる  回復目標=TOF比≧1.0
・ベクロニウムVbは肝臓での代謝産物がもとの約70%の筋弛緩活性を有するので実際の筋弛緩効果を確認しながら反復投与の間隔や投与量の調節が必要
・Rbは生体内で活性代謝産物を生じない→Rb自体の血漿中濃度が筋弛緩効果を反映
・Rb持続投与時の目標血漿中濃度
 Sevo2%、Rb0.6mg/kg~0.9mg/kg単回投与後、母指内転筋のT1をコントロールの3~10%:1.0~3.0㎍/mL
 Propofol;Rb同様、1.5~1.7㎍/mL⇒持続投与7㎍/kg/min
 [初回単回投与量(mg/kg)×50]分後から持続投与開始
 投与量の増減 1㎍/kg/min増減=血中濃度0.2㎍/mL増減
 0.5㎍/kg/min=0.1㎍/mLずつ変更する
◇ 伊藤祥子ら. 術中の筋弛緩薬投与とモニタリング 個体差を考慮し、より効果的な持続投与を行うために LiSA, Vol20, No9. 2013, p840-845    <11/27/2015>

筋弛緩の拮抗とその評価
・残存筋弛緩が呼吸器合併症に関与。 軽度の残存筋弛緩でも回復室における危機的呼吸イベントの発生と関係がある。
・母指内転筋は筋弛緩に対する感受性が高いため、残存筋弛緩の見逃しを防止する観点からも妥当な選択である
・従来は横隔膜における残存筋弛緩に由来する低換気が問題にされ――TOF比≧0.7をもって残存筋弛緩なしと判断していた。
・TOF Watchは加速度感知型筋弛緩モニターacceleromyograph AGM.  AGMを用いた場合の残存筋弛緩の閾値は1.0を用いるべき
・ネオスチグミンの注意点は、深い筋弛緩状態では拮抗作用が不十分、天井効果あり、0.05mg/kg程度で作用が上限となる――3mg/60kg=6Ap.
 ネオスチグミンの至適投与時期 TOFカウント2→TOFカウント4.
 最大量に近いネオスチグミンを投与した場合、逆に筋弛緩効果が生じる可能性あり
――より低用量の投与を推奨
・スガマデクスによって有意に残存筋弛緩の頻度が減少するものの、筋弛緩モニターを使用しない場合、スガマデクスによる拮抗の直後に、再手術などの理由で再度筋弛緩が必要になった場合――スガマデクス投与後25分以上経過していればRb1.2mg/kgで気管挿管に必要な筋弛緩が得られる
・腎不全のPt:ICUにおいて血液浄化を受けているPtで1回6時間の血液浄化でRbおよびスガマデクスの約70%が除去された。
◇ 豊田大介ら. 筋弛緩の拮抗とその評価 AGMでのモニタリング時にはTOF比1.0以上が目安になる LiSA, Vol20, No9. 2013, p846-850 <11/28/2015>
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