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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

205.08.02. 無症候性頸動脈狭窄に対するCEAまたはCASの適応について

目次
205.08.02. 無症候性頸動脈狭窄に対するCEAまたはCASの適応について
○ 無症候性頸動脈狭窄に対して内膜剥離かステント留置あるいはどちらでもないか
・頸動脈内膜剥離術と内頚動脈ステント留置術後の早期および後期outcomeを比較する2つの大規模な無作為試験から重要なデータが発表された。今までのところ全ての他の大きな大きな多施設、無作為試験の中で共通であるが、Asymptomatic Carotid Trial (ACT I)とCarotid Revascularization Endarterectomy versus Stenting Trial (CREST)は周術期後、後期のendarterectomyあるいはstenting後の同側のstroke脳梗塞の発生率に差はなかった。平均的危険性リスクであると思われる無症候性のPtを含んでいると思われるACT Iにおいては同側脳梗塞の5年発生率は(周術期を除いて)stenting後は2.2%(年率0.4%)、endoarterectomy後は2.7%(年率0.5%)だった。CREST試験では平均的リスクであると思われる症候性および無症候性のPtを含んでおり、同側脳梗塞の10年危険率の見積もりは(周術期を除いて)stenting後は6.9%(年率0.7%)、endarterectomy後は5.6%(年率0.6%)であった。
・周術期後のstenting後の後期同側脳梗塞の発生率はendarterectomy後のそれと有意差はないという無作為試験におけるほぼ満場一致のコンセンサスであるという事実はstentingの永続性についてのなかなか振り払えない概念を追い払うべきである。この問題は今、確実に解決された。しかしながらまだ解決されていないのは無作為試験の所見の日常の臨床における一般化の問題である。より重要なのは無症候性のPtを治療するより良い方法は何かという悩ましい問題である。この問題についてACT IもCRESTも解決したという幻想を抱くべきではない。
・CRESTとACT Iは共に試験において最良のインターベンショニストと外科医を保証したに過ぎない。Stentingまたはendarterectomyを実行したACT IとCRESTにおける手技の間の死亡率と脳梗塞の発症率の推奨すべき低さはこのことを証明している。それ故、これらの所見が通常の日常臨床実践に移し替えられているかが残されている。もしガイドラインが特に無症候性のPtでstentingのより自由な適応に変えられるかどうか。これは重要な点で最近の系統的なレビューでは、大きな登録データの21のうち9つでは(43%)報告された死亡及び脳梗塞の発症率はAmerican Heart Associationで推奨されているリスク限界の3%を越えているendarterectomy後の1/21登録の5%と比較しても超過している。さらに3%のリスク限界は内科的インテンシブ治療のリスクの縮小よりも明らかに高すぎる。
・無作為試験のデータ(すなわちACT IとCREST)と現実の世界の実践は何も新しくはなく、この場合はおそらく多くのUSAの臨床医は無症候性のPtは年に2つかそれ以下の治療を行っているだけでより経験を踏んだ同僚より劣ったoutcomeで臨床を行っている。初期の処置のリスクの大きさは最近の有症状のPtで結局はendarterectomyかstentingかどちらが好ましいかで決まる。そしてこれは最近起こった症状、Ptの年齢、併存する状態によって決まるであろう。しかしながらこれら2つの試験からのデータはstentingはendarterectomyと同等であると無批判に解釈され、無症候性のPtの頸動脈インターベンションの90%以上が行われている合衆国の現状を悪化させる。それらの90%以上は結局は不必要で、有害な処置である可能性がある。それに対し、無症候性の狭窄に対して行われたインターベンションのパーセンテージはドイツ、イタリアではおよそ60%、カナダ、オーストラリアで15%、デンマークでは0%である。これらの矛盾(相違)は無症候性の内頚動脈狭窄に対して、ルーチンにインターベンションを主張することの妥当性に対する疑問が起こってくる。
・ACT Iの著者らは後知恵であるが、彼らの試験に内科的群を含めたほうが良かったかもしれないとしぶしぶ認めている。しかしながら現在の内科治療が梗塞の年間リスクを低めたかについての討論はACT Iを思いついた時には頂点に達していなかった。それは確かに高度にトピックスで、現代において議論の分かれる論点である。無作為化した試験でも非無作為化研究でも、内科治療中の無症候性のPtの梗塞の年率はベースラインの狭窄の強さにかかわらず過去20年間に減少しており、エビデンスによれば同側の梗塞は0.5~1%と低くなっている。それはACT IおよびCRESTで成功裏にstentingかendarterectomyが行われたのとほぼ同じである。
・だから現代のガイドラインでは3%以下のリスクで行われたならばインターベンションは妥当かもしれないと推奨されているが、それは10年以上前に行われ現代ではすたれていると思われる歴史的無作為試験医基いている。
・臨床試験の外側のendarterectomyとstentingは症候性の高度狭窄のPtあるいはインターベンションよりも内科的治療での梗塞の高リスクのPtのためにとっておくべきである。その様なPt(70~90%の無症候性の狭窄のおよそ10~15%)はtranscranial Dopplerによって探索されるマイクロ塞栓についての情報と合体したアルゴリズムにより、将来は傷つきやすいプラークを同定する画像戦略によって同定される。
・今後、どのようなPtが内科的治療よりもインターベンションで利益があるのか高名さに基づいたやり方でなく科学的根拠に基づいて可能になるかもしれない。  
◇ J. David Spence, A. Ross Naylor Endarterectomy, Stenting, or Neither for Asymptomatic Carotid-Artery Stenosis N ENGL J MED 374; 11, Editorial March 17, 2016, p1087-1088 <3/31/2016>
○ [注釈] 内頚動脈狭窄症に対してstentingはendarterectomyと比べて非劣性であることが明らかになった。しかしながら無症候性の内頚動脈狭窄症については内科的治療が良くなり、直ちにstentingするのはよろしくないということ。
◆Kenneth Rosenfield, et al. Randomized Trial of Stent versus Surgery for Asymptomatic Carotid Stenosis N ENGL J MED 374; 11, March 17, 2016, p1011-1020
・無症候性の内頚動脈高度狭窄症Ptに対してstentingは術後30日以内の死亡・脳卒中・心筋梗塞と1年以内の同側脳卒中についてendarterectomyと比べて非劣性であった。最長5年間の群間で有意さはなかった。
◆ Thomas G. Brott, et al. Long-Term Results of Stenting versus Endarterectomy for Carotid-Artery Stenosis N ENGL J MED 374; 11, March 17, 2016, p1021-1031
・CREST試験:stentingとendarterectomyで周術期の脳卒中・心筋梗塞・死亡その後4年間の同側脳卒中に関して有意差はなかった。今回その後10年間のfollow upでも群間に有意差はなかった。
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