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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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100.03.05 PONV予防に少量のdropeidol投与

目次
100.03.05. PONV予防に少量のdropeidol投与
[要旨] 前向き、無作為、プラセボ対照の研究で、(1)全身麻酔の覚醒前30分に投与されたdroperidol 0.625mg IVは一般的外科手術のPt集団で術直後および遅発性の術後嘔気嘔吐(PONV)を減らすことができるかどうか、(2)PONVのrescue治療に対するdroperidolドロレプタン, ondansetronゾフラン, promethazineヒベルナの効果を比較した。
・2時間以上の全身麻酔を受けた150例の成人Ptでdroperidol (0.625mg IV)またはplaceboを覚醒前30分に投与した。
・Postanesthesia care unit(PACU)でPONVの治療を要したPtはdroperidol (0.625mg IV), ondansetron (4mg IV), promethazine (12.5mg IV)を無作為に投与された。
・droperidolは有効にPONVを予防した。(droperidol群6.8% 対placebo群40.8%、p<0.001)
・droperidol, ondansetron, promethazineは発症したPONVの治療には同様に有効であったが副作用、PACU退出時間に差はなかった。
○ PONVは術後Ptにとって大きな問題として残っている。実際、麻酔の安全性は増加しているが、PONVは今やPtが麻酔・手術に関して表現する最も大きな問題の一つである。術前に調べるとPtの72%がPONVの予防は最も優先性を与えられるべきであると述べている。加えてPONVはPACUからの退出が遅れて外来Ptの術後に予定外の入院となる主要な理由の一つである。
・PONVの原因は多因子でPtに関した多くのリスク因子、麻酔の方法、手術の形式などが明白にそのリスクを増やしている。
・droperidolはPONVの治療および予防に有効であるが、多量投与(2.5~5mg)では副作用の可能性があり、傾眠傾向、落ち着きのなさ、不安、錐体外路症状などを含む。しかし少量のdroperidol(0.625mg IV)投与は著しい副作用なしに制吐作用がある。
・3つの疑問点に付き調査した。1)全身麻酔を受ける手術Ptに対してdroperidol 0.625mg IVのroutine投与はPACUおよび術直後24時間以内のPONVの頻度を減らせるか。
2)droperidol. ondansetronゾフラン, promethazineヒベルナ,間でdroperidol投与の有無にかかわらず発症したPONVの治療効果に差があるか。
3)droperidol予防を受けたPtとplaceboを受けたPtで副作用像やPACU退出時間に差があるか。
[方法] 2時間以上の各種外科手術で全身麻酔を受けた成人Pt150名で検討した、前向き、無作為、placeboコントロール研究。
・麻酔覚醒30分前にdroperidol 0.625mg IV群と同量の生食IVを受ける群に無作為化された。麻酔方法は制限を付けなかったが、チオペンタール対プロポフォール、N2Oの使用、オピオイドの使用、筋弛緩薬の拮抗、ステロイドの使用は記録された。除外項目は、年齢<18歳、妊娠、研究薬へのアレルギー、制吐薬の常用である。生理のサイクルは調べなかった。手術手技では頭蓋内手術および心臓手術は除外した。
・研究の第1段階の第1エンドポイントはPACUにおける嘔気and/or嘔吐の発症、第2エンドポイントは副作用の発生である。
・PACU到着時にblindされたPACU看護師によって評価され、嘔気および鎮静スコアを割り当てられた。同じ看護師が15分間隔で225分までまたはPACU退出までのどちらか早い方で再評価した。
・嘔吐の症状は、1.No nausea嘔気なし、2.Mild nausea軽度嘔気、3.Severe nausea高度嘔気、4.Vomiting/retching嘔吐あるいは空吐 に分類した。
・鎮静レベルは、1.Heavily sedated強い鎮静、2.Moderately sedated中等度傾眠、3.Mildly drowsy軽度傾眠、4.Fully awake完全覚醒 に分類した。
・Ptはdizzinessめまい、headache頭痛、blurred vision目のかすみ、restlessness落ち着きのなさ、dysphoria違和感、口内乾燥感の評価を受けた。PACU看護師は観察された錐体外路症状、PACU退出時間を記録しておく。PACUにいる間、PtはPACU医の指示した術後鎮痛薬を受けることができる。
・PACUでPONVが発症したらdroperidol 0.625mg IV, ondansetron 4mg IV, あるいはpromethazine 12.5mg IVを無作為に受けることができる。さらにPONVが起きたらPUCU医あるいは看護師により無作為化されていない制吐治療を受けることができる。
・PACU退出後24時間内のPONVの頻度はPt問診と記録により行った。
[結果] 150名のPtを登録。Droperidol予防を受けた群とplacebo群では年齢、性別、PONVの既往、麻酔時間、N2O使用の有無、麻薬使用量、コリンエステラーゼ阻害薬やステロイドの使用に関して差はなかった。手術手技には差はなかった。最も多かった手術は非頭蓋内脳外科手術(23%)、婦人科手術(22%)、一般外科手術(14%)、整形外科手術(13%)、耳鼻科手術(12%)、これらを合わせて74%であった。
・74名のPtがdroperidol予防を受け、76名がplaceboを受けた。嘔気のカテゴリーのそれぞれのPt数は図1の通り。嘔気のなかったPtは予防群で有意に多かった(p<0.001)。嘔吐あるいは空吐きのあったPtはplacebo群で有意に多かった(p<0.008)。PACU滞在中にPONVを経験したPtの平均nausea scoreを計算すると、PONVを経験したPt数はdroperidol群で有意に少なかった。

・droperidol予防群の74名中5名(6.8%)がPONVを経験した。一方placebo群では76名中31名がPONVを経験した(40.8%、p<0.001)。number needed to treat(NNT)は2.9.
・鎮静カテゴリーのそれぞれのPtの割合は有意差はなかった(各カテゴリーでp>0.05)。
・PACUからの退出時間は同じだった。実際、droperidolで予防治療された場合,placebo群と比べてより迅速な退出傾向だった。(91±39分 vs 104±48分, p=0.062)
・術後24時間のPONVの予防もdroperidol群で良好な傾向だった。Droperidol群16名(22%)、placebo群24名(32%)で遅発性のPONVがみられた。統計的有意差はなかったp=0.232.
・droperidol群とplacebo群で副作用に有意差はなったが、dysphoria不快感の発生頻度がdroperidol群でおおい傾向があった。

Droperidol 0.625mg IV or placebo 投与後24時間以内に観察された副作用

・PONVが発現したPtはすべて治療を受けた。Droperidol予防群でPONVが発症したPtが少数見られた。その後の分析はこの5名を除いて行われた。残り31名の内7名はondansetron、14名はpromethazine、10名はdroperidolをrescue治療として受けた。さらに無作為化されていない制吐薬を必要としたPONVはondansetron群の7名中2名(28.6%)、promethazine群14名中3名(21.4%)、droperidol群10名中1名(10%)でみられた。第2の制吐薬としてはdroperidol群でより少ない傾向であったが有意差はなかったp=0.613.
・鎮静スコアはdroperidol群でより低い傾向があったが例数が少なく統計的有意差はなかった。副作用、PACU滞在時間、24時間以内のPONVは3群で差はなかった。
[討論] 麻酔覚醒前30分にdroperidol 0.625mg IVの予防投与は直後および24時間以内の遅発性PONVの発症頻度を減じ、不利な副作用やPACU退出時間の遅れを起こさなかった。
・PACUでのPONVはplaceboに比べてdroperidol予防治療を受けたPtで41%から7%に減少した。さらにdroperidol予防投与は術後当初の24時間以内のPONVのエピソード(225 vs 32%)も少ない傾向であった。
・placebo群のPONVの頻度は他の報告と同等であったが、droperidol群の頻度は以前に報告されたものより少なかった。
・droperidolの1.25mg以上の投与は好ましくない副作用の頻度が高いが、0.625mgではplaceboと比べて副作用の差がなかった。Droperidol予防投与群では鎮静レベルがわずかに上昇したが有意差はなかった。PACU退出時間も延長しなかった。
・この研究の第2部はPACUにおけるPONVのrescue治療でdroperidolとpromethazineとondansetronの効果の比較である。Droperidolが大いに効果があったので我々が考えたよりPONVの発症したPtは少なかった。
・PONVの予防的治療は出来上がったPONVの治療よりも有効であった。一度PONVが発症すると最初の治療では高率に失敗する。
・droperidolのコストは$0.40/2.5mg vial.
○ 結論としてdroperidol 0.625mg IVをroutine型通りに投与することはPONVの予防に有効で安全である。副作用の頻度の増加もなくondansetronよりもコストの面からも優れている。
◇ N.S.Kreisler 一般的外科手術の成人Pt集団で少量のドロペリドールは嘔気を有効に減らす Anesth Analg 2000, 91; p1256-1261 <8/12/2016>
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