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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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100.03.02.02. PONV予防にトラベルミン

目次
100.03.02.02. PONV予防にトラベルミン
○ PONV対策に安価で安全な薬剤としてトラベルミンを使用した。
・上下肢、鎖骨または股関節の手術を全身麻酔で施行。ASA1-2、成人男女をトラベルミン投与群と非投与群に無作為化60例ずつ。
・麻酔はプロポフォール1.5~2.5mg/kgで導入後、ラリンジアルマスクプロシール(LMA)を挿入。LMAのドレインチューブから胃管を挿入して胃内容を吸引後、胃管を抜去した。自発呼吸下にセボフルラン1~2.5%と亜酸化窒素50~67%で維持し、適宜ペンタゾシンをiv。執刀直前に0.2~0.375%ロピバカイン10~20mLで局所浸潤麻酔を施行。
・投与群には閉創開始時にトラベルミン注1Ap(1mL)を皮下投与。
・手術終了時、フルルビプロフェンアキセチル50~100mgを点滴投与した。
・術後24時間のPONVの有無を術後回診およびカルテの記載から調べた。
○ [結果] Pt背景、ペンタゾシン投与量、手術時間、麻酔時間に両群の有意差はなかった。
・PONVの発生頻度1.
投与群
n=60
非投与群
n=60
PONV +6 *23
  悪心のみ3 *17
  悪心・嘔吐36
* Fisher直接法で両群間に有意差あり(P<0.005)

・PONVの発生頻度2.
投与群
n=60
非投与群
n=60
早期 0~6時間3*20
晩期 6~24時間33
* Fisher直接法で両群間に有意差あり(P<0.005)
・PONVの発生頻度は投与群で6例(10%)、非投与群で23例(38%)で、投与群の方が有意に少なかった。(P<0.005) 
・PONVの程度で比較すると悪心のみを認めたPtは投与群3例、非投与群17例で有意差を認めたが(P<0.005)、悪心・嘔吐両方を認めたPtは両群間に有意差はなかった。
・PONV発生の時期では早期(術後6時間まで)が3例と20例で有意差があったが(P<0.005)、晩期では有意差はなかった。
・PONVを発生した両群計29例でその要因となったのは、38%が搬送時のベッド移動やトイレ歩行などの体動で、17%が摂水・摂食であった。
・トラベルミンの副作用は注射部位の一時的発赤のみ。
○ [考察] PONVの一般的発生頻度は20-30%。
・PONVの危険因子(Apfel et al):女性、非喫煙者、PONVまたは動揺病の既往、術後オピオイド使用を4大危険因子。
この因子数が0, 1, 2, 3, 4の場合のPONV予測率は10, 21, 39, 61, 79%と報告
・今回の症例の危険因子数は両群間に差はなく、PONV発生率は21~39%と予測される。トラベルミン投与により危険因子0の10%にまで低下した。
・USAガイドライン2003:PONVに対する制吐薬としてセロトニン受容体拮抗薬、デキサメタゾン、ドロペリドール、ジメンヒドリナートがあげられている。
・トラベルミンはジメンヒドリナートを参考に1952年に日本で発売された、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン30mgとテオフィリン誘導体のジプロフィリン26mgの配合体。
・ジフェンヒドラミンは嘔吐中枢化学受容体引金帯および内耳迷路の興奮を抑制する。ジプロフィリンはジフェンヒドラミンの効果増強し、中枢神経刺激してジフェンヒドラミンの副作用である眠気を軽減する。適応は動揺病・メニエル症候群の悪心、嘔吐、眩暈。トラベルミン注の効果は投与後5分で出現し、4~5時間持続する。保険適応外であるが緩和医療領域でオピオイド鎮痛薬の副
PONV+PONV―
トラベルミン+6  (a)54     (b)60  (a+b)
トラベルミン―23   (c)37     (d)60  (c+d)
・相対リスクRR:(a/a+b)/(c/c+d)=0.261
・オッズ比OR:(a/b)/(c/d)=0.179
・相対リスク減少率RRR:1―RR=0.739
・絶対リスク減少率ARR:(c/c+d)―(a/a+b)=0.283
・NNT=1/ARR=3.529
トラベルミン セロトニン受容体拮抗薬 ドロペリドール デキサメタゾン
NNT 3.5 5~7 3~7 3~4
*NNTは数字が小さいほど有効性が高い
・トラベルミンは6時間以降のPONV予防効果はなかったので持続時間4―5時間を考慮して追加投与すると有効になるかもしれない。
・トラベルミンは1Ap原価67円、オンダンセトロン(ゾフラン)4mg:6894円、グラニセトロン(カイトリル)1mg:3015円、トロピセトロン(ナホバン)5mg:1982円、デキサメタゾン(デカドロン):210円、ノバミン:64円、ドロペリドール142円(1回3.6~7.1円)
・ドロペリドールは錐体外路症状、致死的不整脈を生じる危険性を指摘されている。ノバミンは錐体外路症状、中枢神経抑制。
◇ 大塚みき子 ら:術後悪心・嘔吐に対するジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合薬(トラベルミン)の予防効果 日臨麻会誌 Vol26, No7, p274~678, 2006  <10/26/2016>
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