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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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100.03.06. 持続フェンタニル静脈内投与に添加したdroperidolによるⅢ度AVブロック

目次
100.03.06. 持続フェンタニル静脈内投与に添加したdroperidolによるⅢ度AVブロック
○[症例報告] 73歳、♀、153cm,48kg. 転移性肝腫瘍→腹腔鏡下肝切除術。
PH:胃癌→幽門側胃切除、子宮筋腫→子宮全摘、直腸癌→腹腔鏡下直腸切断術→肝転移→今回の腹腔鏡下肝切除
・術前ECG:QT時間0.36秒、QTc時間0.47秒
・麻酔導入:propofol+remifentanil+Rocuronium→気管挿管
・麻酔維持:Desflurane3~4%、remifentanil0.2~0.4㎍/kg/min、+Rb
 BP低下にdopamine2.0~3.5㎍/kg/min
・手術時間:4h46’ 総輸液量3937mL、出血量372g、尿量1440mL
・手術開始2h後からPONV予防のためdroperidol1.25mg(0.5mL) iv、その1h後から
 Fentanyl600㎍+droperidol5.0mg(2mL)+NS34mL (a) を2mL/hでciv開始した
・術後覚醒良好でICU入室
 ICU入室50分後、(a)開始後3h30’に嘔気+→メトクロプラミド(プリンペラン)iv ECG?
 さらに2h後、嘔気+→ECGでⅢ度AV blockに気付いた。呼びかけに応じず意識レベル低下、CPR開始しようとしたが間もなくECGは補充調律から洞調律に復帰し呼びかけに応じた。Droperidol中止したところⅢ度AV blockは再発しなかった
[考察]・droperidolで誘発される重篤な不整脈としは、QT時間延長に続くトルサード型の心室性の頻拍性不整脈が知られている。K+チャンネル遮断作用に関連した心筋の再分極遅延か?
・droperidolの使用量と不整脈の発生頻度:droperidol使用量が高用量であるほど不整脈を誘発しやすい。2.5mg(1mL)以下の通常使用量では稀だが、通常使用量0.1mg/kgでもQT時間延長から不整脈誘発の報告がある。1.25mg(0.5mL)のdroperidolではQTc時間延長はなかったが2.5mL(1mL)ではQTc時間延長がみられた報告がある。Droperidolが原因のⅢ度AV blockなどの伝導障害を伴う除脈性不整脈の報告は少ない。Droperidolの単回投与(0.1~0.25mg/kg)では圧反射に伴って心拍数はわずかに上昇することが多いと報告されている。このcaseのdroperidol総投与量は1回目嘔気時で2.0mg、2回目嘔気時で2.4mg。
・肝切除で肝代謝が一時的に低下していたこと、fentanylとも併用で副交感神経系の反射的興奮が原因か?
○[注釈] (a)fentanyl600㎍(12mL)+droperidol5mg(2mL)+NS34mL では
・fentanyl=12.5㎍/mL、1時間2mL投与でfentanyl25㎍/2mL/h。
・droperidol=0.104mg/mL、1時間2mL投与で0.2083mg/h=208.3㎍/h
・私が術後鎮痛及びPONV予防に通常使用しているのはfentanyl20mL+droperidol0.6mL (1.5mg)+NS19.4mL. これではfentanyl25㎍/mL、droperidol37.5㎍/mLの濃度で、およそ1.5mL~2.0mL/hでcivしている。時間当たり2mLとしても報告例は2.78倍投与していることになる。
◇小寺厚志:持続フェンタニル静脈内投与に添加したドロペリドールが原因と考えられたⅢ度AVブロックの1例 臨床麻酔 Vol40, No10, 2016-10, p1380-1383  <11/16/2016>
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