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脳外科麻酔の現場

脳外科麻酔についての備忘録 An actual spot of the neurosurgical anesthesia.

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10.03.04.02. 手術室外でのカプノメータ(1)

目次
10.03.04.02. 手術室外でのカプノメータ(1)
○ カプノグラフィ、特に手術室外での使用についての総説
◇Brabani Shankar Kodari, MD : Clinical Concepts And Commentary: Capnography Outside the Operating Room Brigham and Womens’ Hospital, Harvard Medical School, Boston Mass USA
○ 歴史的に麻酔科医は医療従事者のうちで安全のための道具と基準を実行することの先駆者であるように思われる。USAでは1985年以来、麻酔科医の不適切医療(医療事故)の保険料が、劇的に減少している。この間に他の内科系、外科系の専門医ではこのような減少は見られていない。
・アメリカ麻酔学会ASA、麻酔患者安全基金APSE、英国及びアイルランド麻酔医連盟AAGBI、オランダ麻酔科医学会の先見の明に感謝し、カプノグラフィがPtの安全を高めるために麻酔中のモニタリングの基準として取り入れられ信頼されている。最近は多くの発展途上国の麻酔科医もこれらの推薦に従っている。(インドではカプノグラフィは腹腔鏡手術の弁済のために強制的なものになっている)過去25年以上前からカプノグラフィは麻酔ケアの欠くことのできない一部分になっているが、その価値は、そのような状態に限られ、この制限を越えて正しく評価されてはいない。我々の臨床の中では気管挿管され、人工呼吸されているPtを観察するためには特殊なものではない。はじめは手術室でカプノグラフィはモニタされているがICUへカプノグラフィなしで移送されている。気管挿管を確認するためにも、連続的に換気をモニタするためにも、多くのICUはカプノグラフィを持っていない。麻酔科医として我々はカプノグラフィを手術室で鎮静モニタとして使用している。なぜなら我々は意識のある状態と無意識の状態の線は非常に薄いものであると評価しているからであり、Ptは一つの状態から他の状態に移ることができる。しかし多くの施設ではカプノグラフィは手術室の外で、特に非麻酔科医によって実行される処置の鎮静の間に換気のモニタとして使われてはいない。明らかな理由の一つはASAとAAGBIが手術室の中で行っているように、手術室以外での処置の安全性をカバーする単一の協会がないことである。にも拘らず過去2年間に手術室の外におけるカプノグラフィの価値の理解と認識が湧き上がってきた。この「臨床的概念と論評」はカプノグラフィの生理学と臨床的解釈をまとめて、手術室外でのカプノグラフィの最近の状態を更新し、公衆とメディアの気付きを含めて可能な未来の方向性を示唆することである。
○[測定と生理学]
・赤外線技術は二酸化炭素(CO2)測定とモニタリングの方法としては最も一般的で費用的にも素晴らしいものである。1回換気量が少なく、呼吸回数が速い未熟児においてさえ上質のカプノグラフィの波形を生み出すように反応時間を減らし、赤外線技術の正確さを増す努力がなされてきた。
・CO2の数値は通常分圧(PCO2)として表示される。CO2測定装置の部位によって2つのセンサーの型がある。メインストリーム方式とサイドストリーム方式である。メインストリーム法ではセンサーを収納するアダプタは気管チューブと呼吸回路の間に挿入され、CO2の測定は気道を交差して行われる。サイドストリーム法では呼吸ガスはアダプタを介して6本足のサンプリングチューブで赤外線センサーを収納するモニタへと吸引される。赤外線測定装置へのガスの移送によりサイドストリーム法ではカプノグラムの測定と表示は1―4秒遅れる結果となる。
・型通りの成人ではカプノグラムは多かれ少なかれ、全て健康な個人では全く同一の形となる。これからのいかなる変位も、生理的あるいは病理的原因の分析が必要になる。CO2の波形は時間に対して描かれる時間カプノグラム(Fig.1A)かまたは呼気量に対して描かれる容量カプノグラム(Fig.1B)がある。時間カプノグラムは臨床実践的に一般的に使われている。時間カプノグラムは二つの重要な分画を持つ;吸気(phase0)及び呼気である。呼気相はさらに3つの相(phase Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)及び時にpaseⅣ(Fig.1C)に分けられ、肺及び気道からのCO2の展開の生理学に基づいている。phaseⅠはいかなる呼出されたCO2も含まない(死腔ガス、ゼロPCO2)。PhaseⅡではPCO2は急速にCO2を含んだ肺胞ガスとして上昇し、死腔のゼロCO2と入れ替わる。PhaseⅢは肺胞からのCO2の進展を表わす肺胞性のプラトーである。もしも全ての肺胞が同じPCO2ならば肺胞プラトーは完全に平坦になる。実際には肺内にかなり空間的、時間的なミスマッチがあり、結果としてV/Q ratio換気血流比、及びこのような変わりやすいPCO2となる。通常、低いV/Q ratioと長い時間定数(比較的多くのCO2を含んでいる)を伴った肺胞はphaseⅢの後半部分に寄与する。このことは結果として肺胞の部分圧“プラトー”の軽度の上向きスロープとなる。それ故スロープは間接的に肺のV/Q状態を表わす。だから肺胞のプラトーの高さとスロープは換気、灌流、更に重要なV/Q関係の情報を供給する。気道の内径変化の結果としてV/Q ratioに相当な変動がある時にphaseⅢのスロープは誇張されまた遷延したphaseⅡ(Fig.2A)が伴ってくる。この様な環境ではphaseⅡとphaseⅢの角度(α angle)、これは一般に100°であるが、が増加する。気管支拡張薬の治療効果はphaseⅡ,phaseⅢ,α角の変化で判定される。肺胞プラトーの高さは肺胞換気に対する心拍出比と関連している。一定の換気のもとで肺胞プラトーの高さは心拍出量の急な変化で増えたり減ったりする。呼気終末の最大PCO2は数値として表わされ、end-tidal PCO2(PETCO2)呼気終末二酸化炭素分圧と呼ばれる。その値は35―40mmHgの間で変化する。PhaseⅢの終末で呼気の間にCO2のないガスが吸入され、PCO2は急激に減少しゼロになる。PhaseⅢと吸気の下向きの動きの間の角度は一般に90°(β角)(Fig.1A)。しかしながらこの角度は再呼吸があると増える(Fig.2B,C)。時にphaseⅢの終末に先端のblipがあるかもしれない(Fig.1C)。これは一般に小児や妊婦や肥満Ptのカプノグラムで見られる(phaseⅣ)。かなり一定のCO2濃度を含む肺胞ガス区分を急速に初期に空にすることはCO2のトレースのうちのphaseⅢの初期のほぼ水平な部分についての責任がある。しかしながら呼気の流れは呼気の終末に向かって減少するので呼気のCO2濃度は大きく増え、このように先端の急な上昇あるいは上向きな上昇となる。これがCO2の肺胞内への持続的放出のために呼気の後半に肺胞が空になるのが遅れて高いCO2濃度になる訳である。正常では高いCO2を伴った肺胞ガスは気道に残り、口の近くのCO2センサーでは分析されない。しかしながら大きな1回換気量と低頻度の換気をするとガスがCO2センサーまで届き高いCO2濃度を示す。妊娠した対象者は通常機能的残気量が減少し、低い胸郭コンプライアンスでCO2産生が増加しているが、全身麻酔中や大きな1回換気量で間歇的陽圧呼吸IPPVを行った時にphaseⅣを示し易い。
・PCO2は容量カプノグラムvolume capnogramでは呼出された容量に対してプロットされるので波形は1回換気量のいろいろなコンポーネントに関連されうる(Fig.1B)。しかしながらこのカーブの中には吸気のコンポーネントがない。時間カプノグラムと容量カプノグラムの両方でPETCO2に対するPaCO2の差は生理的死腔の代用として使われる(Fig.1B)。正常のPaCO2―PETCO2勾配の差は約5mmHgである。これはCO2を含む肺胞ガスとCO2を含まない死腔ガスの混合のためである。上記の生理学的理解はカプノグラフィの解釈にとって非常に重要である。


Fig.1A:Time capnogramはsegment(区分),phase(位相),angke(角度)を示している。Inspiratory segment(吸気区分)はphase0、expiratory segment(呼気区分)は3つの相Ⅰ,Ⅱ,Ⅲに分けられる。呼気の終末のCO2の最大値はPETCO2と任命される。肺胞死腔のためにPaCO2より約5mmHg低い。PhaseⅡとphaseⅢの角度はαangleで、phaseⅢとinspiratory downstroke吸気下降流の間の角度はβangle。
Fig.1B:volume capnogram(PaCO2対呼気容量):容量カプノグラムはtidal volume1回換気量の細分を示す。CO2のarea under curveは有効肺胞換気量。Area above CO2 curve及び動脈血PaCO2線以下は生理的死腔。2つの三角形のpとqが含まれるphaseⅡに垂直に線が引かれる。これは生理的死腔を解剖学的及び肺胞死腔に分ける。
Fig.1C:全身麻酔下の帝王切開中に記録されたtime capnogramでphaseⅣ(phaseⅣの詳細は参考文献4を参照)    PETCO2=end-tidal PCO2.

○[カプノグラフィの臨床的解釈]
・臨床的情報はカプノグラフィの3つの情報源から得られる:PETCO2の数値、カプノグラムの波形、PETCO2とPaCO2の差である。
・数値は鑑別診断の道具として使われる(table.1)。一方、カプノグラムの波形はより特殊な診断の手掛かりを提供する(Fig.2A-O)。カプノグラフィをそれ自身で診断的道具として使うのは困難である。しかしながら、もしもPETCO2の数値の変化やCO2の波形の変化は心拍数や血圧、呼吸流量、肺吸入圧、分時換気量などの付随するデータと共に使われたならカプノグラフィの診断的正確さが高まるであろう。Tauzらは55歳の男性の麻酔中にPETCO2値が徐々に増加した症例の報告を行った。これは後から心拍数の増加と体温の上昇を伴っていた。Ptの循環動態、呼吸変化、麻酔器の全体的かつ系統的チェックでは麻酔システムの欠陥や気道閉塞は明らかにされなかった。18L/分の分時換気量にも拘らずPETCO2値は65mmHgまで上昇し続けた。悪性高熱症malignant hyperthermiaの診断がなされた。MHの治療が開始され、高二酸化炭素血症、高熱は急速に改善された。
・PaCO2―PETCO2勾配は生理的死腔の代用品であるが、V/Q関係の評価に有用である。変化する勾配は不安定な肺内のコンプライアンスまたは抵抗のダイナミックな変化の結果として循環血行動態あるいは変化する肺胞換気量を示している。もしも勾配が臨床的管理の結果、安定化するならば、肺胞換気と灌流の安定性が達成されたと推量することができる。このカプノグラフィの価値のある効用はICUの環境では活用されていない。

Fig.2
A. 引き延ばされたphaseⅡ、拡大したαangle。急峻なphaseⅢは気管支攣縮bronchospasmか気道閉塞を示唆する。
B. 呼気バルブ不調の結果、基線base lineの上昇、alveolar plateauと吸気のdownstrokeの角度が90°から増加。これは吸気中の呼気枝expilatory limbから呼出されたガスの再呼吸のため。
C. 吸気バルブ不調の結果、吸気中に吸気枝から呼出されたガスの再呼吸の結果。(文献5に詳細)
D. PhaseⅡは正常だがphaseⅢのスロープが増加したカプノグラム。このカプノグラムは全身麻酔下の妊婦で観察された。(通常の生理学的変形、文献9)
E. Curare cleft筋弛緩薬の裂け目:Ptは部分的筋麻痺の間に呼吸を試みている。胸部及び腹部の外科的動きもまたcurare cleftと同じようになる。
F. CO2再呼吸の結果基線baselineが上昇する。
G. 食道挿管の結果、残余のCO2が胃から洗い流され、続いてCO2はゼロになるだろう。
H. 自発呼吸のCO2波形、phaseⅢはよく描出されていない。
I. 片側肺移植Ptの二重カプノグラム。PhaseⅢの第1のピークは移植された正常肺からのもの。一方、第2のピークは元の病気の肺からのもの。二重カプノグラムの変形(Staple sign尖塔兆候―破線)はモニタのサイドストリーム・センサーポートにリークがある時に見られる。これは呼出されたPCO2が空気で希釈されるため。
J. 悪性高熱症。ここではCO2は徐々にゼロ基線から増加してくる。CO2産生増加とソーダライムによるCO2吸収を示唆している。
K. 古典的さざ波効果で呼気の休止中の心原性の振り子運動を示している。これらは人工呼吸の呼吸頻度が低い時に、呼吸停止の間に心拍の動きによってセンサー部位で、呼気ガスが行ったり来たり運動の結果起こる。さざ波効果様の波形は呼気停止中に源からのフレッシュガスの前方へのガスが呼気ガスと混ざる時にも起きる。
L. 基線とend-tidal PCO2(PETCO2)の突然の上昇は分泌物か蒸気によるセンサーの汚染による。基線とPETCO2の徐々の上昇はソーダライムが消耗した時に起きる。
M. 自発呼吸Ptの真ん中に間歇的人工換気intermittent mechanical ventiration(IMV)呼吸。人工呼吸と比べた自発呼吸の高さの比較はweaning process離脱中の自発呼吸の評価に有用である。
N. Cardiopulmonary resuscitation, CPR心肺蘇生;各圧迫中の上向きのカプノグラムは心臓圧迫が有効で肺血流量を発生していることを示唆している。
O. 吸気中の再呼吸を示しているカプノグラム。これはMapleson D or Bain circuitの様な再呼吸サーキットでは正常である。

Table 1.
異常PETCO2の原因 PETCO2の増加PETCO2の減少
Metabolic麻酔からの回復(シバリング)
悪性高熱症
Neuroleptic malignant syndrome
Typhoid storm
重症敗血症
Hypothermia低体温
代謝性アシドーシス


Circulatoryターニケット解除

CO2通気による腹腔鏡
アシドーシスの治療

麻酔導入
肺塞栓
高度のhypovolemia
心原性ショック
出血性ショック
Intracardiac shunt
Respiratory低換気Hypoventiration
COPD慢性閉塞性肺疾患
喘息
肺水腫
肺内シャント
過換気
TrachealCO2吸収absorberの消耗
モニタの汚染
Disconnection接続不良
チューブの閉塞
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